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不動産の鑑定評価額と基準についてザックリ解説

21_不動産の鑑定評価額と基準についてザックリ解説

不動産を売却したり、相続したりするときに、不動産の鑑定評価を考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。通常、不動産の売買価格は不動産会社の担当の営業マンが経験に基づいて価格査定を行います。不動産会社に依頼する価格査定は、基本的には無料ですが、不動産鑑定は費用が発生します。

不動産会社に無料価格査定を依頼するのと、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼するのとでは、どちらが良いのでしょうか?今回は不動産の鑑定評価について、ザックリと解説します。

不動産の鑑定評価とは

不動産の鑑定評価とは、国家資格を持つ不動産鑑定士が行う、不動産の評価額を決定する方法のことを言います。不動産鑑定評価は、不動産の売買や贈与、相続や財産分与等の際に行われる方法で、費用は不動産鑑定事務所毎に異なりますが、10万円~30万円程度となることが多いようです。

不動産鑑定は、不動産鑑定評価基準に基づいて行われ、取引事例比較法、収益還元法、原価法の3つの方式で計算され、地域要因や個別的要因等に基づいて不動産の評価額を分析して、最終的に不動産鑑定評価額を決定し、評価額の理由となる不動産鑑定評価書が作成されます。

不動産鑑定評価額とは?

不動産鑑定評価額は、不動産鑑定評価によって算出された、不動産の経済的な価値のことを指します。その方法は、不動産鑑定評価基準に定めら得た鑑定評価の手順に従って行われます。不動産鑑定評価額を決定する鑑定評価の手順の一部を以下に示します。

価格時点の評価を決める

不動産の価格は、時の経過により変動するため、価格判定の基準日を確定する作業を行います。この基準日を価格時点といい、価格時点は、鑑定評価を行った日を基準として、

  • 現在時点
  • 過去時点
  • 将来時点

の3つに分けられます。

鑑定評価の条件を決める

不動産は、依頼目的に応じてその価値が変動します。

現状を所与とする鑑定評価

不動産の状態そのままを対象とします。

独立鑑定評価

土地と建物の鑑定評価の際に、建物が存在しないものとして、土地だけを対象とします。

部分鑑定評価

土地と建物の鑑定評価の際に、その不動産の構成部分を対象とします。

併合鑑定評価

不動産の併合を前提に、併合後の不動産を単独のものとします。

分割鑑定評価

不動産の分割を前提とし、分割後の不動産を単独のものとします。

この他、用途地域の変更があった場合等の地域要因や、前面道路幅の変更があった場合等の個別的要因を想定上の条件として付加する場合があります。

価格の種類を決める

不動産の価格は、鑑定評価の依頼目的や条件に応じて求める価格が変わります。通常は、正常価格を求めますが、現在所有している土地の隣の土地を買い増す場合等に用いる限定価格や、会社更生法や民事再生法に基づく評価の際に用いる特定価格、文化財や宗教建築物の鑑定の際に用いる特殊価格の4つがあります。

不動産鑑定評価基準とは?

不動産鑑定評価基準は、不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行う際に拠り所とする統一的基準のことを指します。不動産鑑定評価基準は、不動産の鑑定評価に関する法律に基づいて1964年に制定され、その後不動産市場の変化に応じて改正が行われてきました。

  • 平成2年にはバブル後の改正として、土地基本法の基本理念の導入、投機的取引の排除。
  • 平成14年には不動産の証券化(J-REIT等)に対応する改正。
  • 平成19年には不動産の証券化のため、各論3章を新たに設けるための改正。
  • 平成21年にはCRE(企業不動産)戦略に関係する改正。

直近では、平成26年11月に不動産の国債かに伴う国際評価基準との整合や、中古住宅の流通促進などストック型社会への対応、ヘルスケアなど多様な事業用不動産を含めた証券化市場への対応を目的に改正がされています。

不動産鑑定評価の問題点

不動産の鑑定評価は、不動産鑑定士が、不動産の鑑定評価に関する法律に基づき行うもので、裁判所や税務署等の公的機関においては、不動産鑑定評価書が必要とされます。一方、不動産会社が行う不動産の価格査定は、通常不動産会社の営業マンが経験に基づいて価格を決定します。

不動産鑑定事務所に鑑定依頼をするデメリットとは

不動産会社の価格査定は、通常無料です。一方、不動産鑑定事務所が行う不動産鑑定は、不動産鑑定基準の鑑定評価の手順にのっとって行われる鑑定評価で、鑑定評価自体に費用が発生します。また、鑑定評価書が完成するまでは通常数週間の期間がかかります。

さらに、専門家である不動産鑑定士が行うとはいえ、鑑定の結果出される不動産鑑定評価額は、不動産鑑定士毎に異なります。不動産鑑定評価は有料なので、複数の不動産鑑定士に鑑定評価を依頼するのも難しく、鑑定結果を比較検討することができないことも問題だと言えるでしょう。

不動産会社に価格査定を依頼するデメリットとは

不動産会社の価格査定は、基本的には不動産会社の営業マンが経験に基づいて行います。不動産会社の価格査定は無料ですが、査定価格は媒介契約を得るための価格設定とされることもあるなど、正確な価値を測る方法としては信頼性に劣ります。

まとめ

不動産鑑定は、通常の不動産売買ではあまり行われませんが、不動産会社の行う価格査定と比べると、専門家である不動産鑑定士が不動産鑑定基準に則って行う、信頼性の高いものです。また、贈与や相続においては税務署や裁判所に提出する書類として有効性が強い方法です。不動産の価値を知る手段として、不動産会社への価格査定だけでなく、不動産鑑定という方法も候補に入れてみてはいかがでしょうか。

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