家みつ

『建て売り』と『売り建て』、どっちがおトク?

『建て売り』と『売り建て』、どっちがおトク?

相談者: 新築戸建てを安く手に入れたい20代会社員 横路泰平さん(仮名、東京・世田谷区)

比較的安く手に入れられる新築戸建てとして、いわゆる「建売」のほかに、「建築条件付き売り地」とも呼ばれる「売り建て」というものもあると聞きました。どちらがトクなんでしょうか?メリット、デメリットを教えてください。

回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを

そうですね。気に入った土地を買って自分の思い通りの注文住宅を建てるというのが理想ですが、これには費用も時間もかかるうえに、個人が土地選びから住まいの建築にまでかかわるのはなかなか難しいことです。比較的手軽に戸建て住宅を手に入れるなら、横路さんの言われるように「建売」か「売り建て」になります。

「建売」と「売り建て」、それぞれにメリット、デメリットがありますが、コストパフォーマンスという点では「建売」、間取りや設備の自由度という点では「売り建て」に軍配が上がります。

まず「建売」から見ていきましょう。「建売」は、建物を建ててから売る土地付き分譲住宅です。中には契約後に建てる青田売りと呼ばれる形式もありますが、この場合も建築確認は取得済みで、どういう家をどのような設備で建てるかはあらかじめ決まっています。ひとつの販売エリアの中にほぼ同じ設計、設備で数棟の住宅を建てることから、カスタマイズした注文住宅より建築費が安くなります。

特に、ここ数年、住宅業界の中で勢いを見せている「パワー・ビルダー」と呼ばれる業者の低価格分譲は注目されます。徹底したコスト削減によって、第一次取得者層をターゲットに、首都圏などの郊外で30坪程度の土地付き戸建てを2000~4000万円という大手不動産会社の半値程度で分譲しています。パワー・ビルダーの中には東証一部上場企業も複数あり、全戸住宅性能評価を取得しているところも多いので、販売業者を選べば安心できます。

価格面以外でも、

  1. 土地と建物がセットになっているので、入居までの期間が短い
  2. 建物が完成している(あるいは完成図が出来あがっている)ので、仕上がりを目で確認することができる
  3. 土地についても、業者がリスクを調べたうえで建売企画をしたものなので安心感がある

などのメリットがあります。逆にデメリットとしては、

  1. 間取りや設備に自分の希望が生かせない
  2. 周囲に同じような建物が並んでいる画一感

などが挙げられます。

「パワー・ビルダー」は私も耳にしたことがあります。CMも目にします。「安かろう、悪かろう」が少し心配でしたが、信頼できる業者なら安心ということですね。では、「売り建て」について教えてください。

「売り建て」は、指定の建設業者と建設請負契約を結ぶという付帯条件の付いた「建築条件付き売り地」をまず購入した後、付帯条件に沿って建設請負契約を結び、家を建てるものです。販売サイドから見ると、土地を売ってから建てるので、「売り建て」と呼ばれています。

青田売りなど建物がまだできていない「建売」と違うのは、建築確認申請をまだ出していないということ。つまり、建設請負契約を結ぶ段階で、間取りや設備についてある程度は希望を取り入れてもらえるということです。多くの場合、いくつか提示された参考プランの中から間取りや材料、設備などを選んでいく形になりますが、業者によってはかなりの範囲まで希望を聞いてくれるので、建売よりは自由度が高くなります。

建物の建築費は「建売」よりは高くなりますが、基本的なプランはコストを抑えたリーズナブルなものになっており、注文住宅に比べると割安でできます。土地については、建物の自由度が制限される分、建築条件のついていない売り地の相場より安く売り出されるのが一般的です。

一方、「売り建て」のデメリットとしては、

  1. 建物の完成形が見えない
  2. 当初予算の範囲内に抑える予算管理が必要
  3. 指定された建築業者が信頼できるかどうか不安

などが挙げられます。

わかりました。「建売」、「売り建て」で、
ほかに何か注意すべき点はありますか?

「建売」の品質、性能面で言えば、住宅性能表示制度に対応していて、住宅性能評価書を交付してくれるところは安心できます。住宅性能表示制度は、国が登録した第三者機関である登録住宅性能評価機関が住宅性能をチェック。「地震などに対する強さ」「火災に対する安全性」「省エネルギー対策」など10分野の性能項目について等級や数値で表示するので、建物の性能の違いが分かりやすく理解できます。「売り建て」の場合も建築業者に相談して性能評価を行うようにしましょう。

また、「売り建て」の場合には、指定された建築業者が建築できる工法をあらかじめ調べておく必要があります。

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