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不動産の買い換え特例とは?事業用資産とマイホーム

12_不動産の買い換え特例とは?
不動産を売却して得た利益に対しては、通常税金が課されますが、買い換え資産を購入し、さらに一定の要件を満たすことで、税金の控除が受けられる特例のことを不動産の買い換え特例といいます。今回は事業用資産の買い換え特例と、マイホームの買い換え特例についてご紹介します。

事業用資産の買い換え特例

事業用資産の買い換え特例とは、事業用資産を売却し、利益が生じた場合、定められた一定期間内に、他の事業用資産を購入すれば、利益のうち一定部分について課税を繰り延べるというものです。具体的には、購入した事業用資産の価格が、売却した事業用資産の価格よりも高い場合、利益の80%を繰り延べることができます。一方、購入した事業用資産の価格が、売却した事業用資産の価格より低ければ、購入代金の80%を繰り延べることになります。

事業用資産の買換え特例はいくつかの規定がありますが、その中で適用が多いものが9号規定(特定資産の買換え特例)です。9号規定の適用要件は、(1)売却資産は国内にある土地等、建物又は構築物で当該法人により所有をされた日から引き続き保有されていた所有期間が10年を超えるものであること(2)買換え資産は国内にある土地等(事務所等の敷地の用に供されるもの等で、その面積が三百平方メートル以上のものに限る。)、建物、構築物若しくは国内にある鉄道事業の用に供される車両及び運搬具のうち政令で定めるもの(ただし、コンテナ用の貨車を除く)となっています。

事業用資産の買換え特例の適用期限は平成26年12月31日まででしたが、平成27年度の税制改正によって、一部見直しを受けながらも、平成29年3月31日まで延長されることになりました。

マイホームの買い換え特例

マイホームにも買い換え特例があります。マイホームの買換え特例は、マイホームを譲渡して、一定の期間内に新しく居住用財産を取得した場合に利用できる特例で、所有期間10年超、床面積50平方m以上、かつ土地の面積500㎡以下等、一定の要件を満たすことで適用されます。マイホームの買い換え特例の適用を受けることで、譲渡代金が買換え代金より少ない時には、その利益が繰り延べられ、譲渡代金が買換え代金よりも多い場合には、買換え代金に相当する課税は繰り延べられ、差額分には譲渡所得が課されます。

3000万円特別控除との関係

マイホームを売却して得られる譲渡所得に関しては、いくつかの特例があり、重複して利用できないものあります。マイホーム売却時によく利用される特例が、3000万円の特別控除であり、この特例は一定の要件を満たすことで、譲渡所得に対して3000万円の特別控除を受けられるというものです。買い換え特例には所有期間10年超という適用要件がありますが、3000万円の特別控除には所有期間の規定はありません。

買い換え特例が課税の繰り延べであるのに対して、この特例は控除となっています。譲渡所得の額が3000万円に満たない場合には買い換え特例よりも、3000万円の特別控除を利用したほうが得になります。譲渡所得が3000万円を超え、かつ、所有期間10年超などの買い換え特例の適用要件を満たす時に、それぞれの内容を検討して、どちらを適用するのかを検討することになります。

買い換え特例の適用要件

買い換え特例を利用するには以下の要件を満たす必要があります。

居住用財産であること

現在、住んでいる自宅を売却する時だけでなく、居住しなくなってから3年以内であれば居住用財産として認められます。また、建物を解体した場合には、居住しなくなってから3年以内の範囲内で、建物の解体から1年以内に売却に関する契約が締結されている必要があります。

譲渡する相手が、譲渡者の配偶者や親、子など直系血族、生計を一にする親族等でないこと

居住用財産を売却する相手が配偶者や親、子などの直系血族、生計を一にする親族の場合には買い換え特例を利用することはできません。

譲渡する年の1月1日で譲渡資産の所有期間が10年超であること

譲渡資産の所有期間が、譲渡する年の1月1日において、家屋、土地ともに所有期間10年超である必要があります。

家屋の床面積が50㎡以上、土地の面積が500㎡以下であること

上記の面積要件を満たしている必要があります。

3000万円の特別控除等との重複は不可

先に説明した3000万円の特別控除と重複して利用できる10年超所有不動産の軽減税率の特例がありますが、これら2つの特例と買い換え特例を重複して利用することはできません。譲渡資産売却による譲渡所得が3000万円を超える場合に、どちらか特になる方を選択します。

住宅ローン控除との重複は不可

買い換え資産の購入時に住宅ローンを組んでいた場合には、住宅ローン控除を受けられることができますが、買い換え特例と住宅ローン控除を重複して利用することはできません。これは、3000万円の特別控除についても同様です。

買い換え特例の確定申告

買い換え特例の適用を受けるためには2月16日から3月15日の間に、所得税の確定申告をする必要があります。

買い換えの特例の確定申告に必要な書類

買い換えの特例の適用を受ける場合には以下の書類を揃える必要があります。

  • 譲渡資産の売買契約書
  • 譲渡資産の登記事項証明書
  • 住民票の写し
  • 譲渡所得の内訳書
  • 買い換え資産の売買契約書(もしくは、買い換え承認申請書)
  • 買い換え資産の登記事項証明書

買い換えの特例を受けた場合の譲渡所得の計算

買い換えの特例を受けた場合には、買い換え資産の方が、売却価格よりも多かった場合には課税はありません。一方、買い換え資産を購入してもなお、手元に現金が残る場合には長期譲渡所得として計算する必要があります。

居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

マイホームを売却して新しく買い換え資産を購入した場合の特例には他にもあり、この居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の適用を受ければ、売却資産より買換え資産の価格が高く、譲渡損失が発生した場合に、その損失分を、3年間繰越して控除することができます。

この特例は3000万円の特別控除や買い換え特例と重複して利用することはできませんが、住宅ローン控除との重複適用は認められています。

まとめ

マイホームの売却に関しては、いくつかの税の優遇を受けられる特例があります。譲渡資産の価格や買い換え資産の価格、その他の特例との重複適用が可能かどうかで、どの特例がお得かは変わってきます。マイホームを売却する際には不動産業者に相談してみると良いでしょう。

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