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支払総額を抑えるポイント~資金計画の前に知っておきたい住宅ローン知識~

支払総額を抑えるポイント

住宅ローンの鉄則は(1)借入額を少なく、(2)借入金利を低く、(3)借入期間を短く、の3つ。当たり前のことですが、価格が同じ物件を取得しても、ローンの借入額、金利、返済期間によって総返済額には大きな差が出てきます。ここでは、この3要素によって実際の返済額がどう違ってくるのかを確かめるのと同時に、対応策も考えたいと思います。

返済額の違い

下の【表1】は、借入額1000万円の場合について、借入期間を10年、20年、30年、金利を1%、2%、3%にそれぞれ分けて返済額にどれだけの違いが出てくるのかを見たものです。仮に3000万円を借りる場合はそれぞれの3倍の金額となります。いかに3大鉄則が重要であるか、おわかりいただけると思います。

【表1】借入額1000万円当たりの返済額(単位・万円)
借入期間 金利 毎月返済額 総返済額
10年 1% 8.8 1,052
2% 9.3 1,105
3% 9.7 1,159
20年 1% 4.6 1,104
2% 5.1 1,215
3% 5.6 1,332
30年 1% 3.3 1,158
2% 3.7 1,331
3% 4.3 1,518

ポイント1. 借入額を少なくする

借入額を少なくするには、まずはあまり背伸びせず、身の丈に合った物件を選ぶこと。つぎに、できるだけ頭金を増やすことです。下の【表2】は、3000万円の物件を購入したとき、頭金をゼロ、100万円、300万円、600万円に分けて返済額にどれだけ差が出てくるかを見たものです。当たり前のことですが、頭金が多ければ毎月の返済が楽になり、総返済額も少なくて済みます。また、借入額を少なくしておけば、変動金利を選択したときのリスクも小さくなります。

【表2】3000万円の物件を購入した場合の頭金別返済額(単位・万円)
(金利2%、元利均等、借入期間30年)
頭金 借入額 毎月返済額 総返済額
0 3,000 11.1 3,992
100 2,900 10.8 3,859
300 2,700 10.0 3,593
600 2,400 8.9 3,194

ただ、頭金を貯金で貯める場合、時間がかかってしまい、その間に場合によっては金利や消費税が上がったり、完済時の年齢が遅くなってしまうというデメリットもあります。ライフプラン表を作成し、貯蓄や返済力の見通しと合わせ検討した方がいいでしょう。

なお、職場に財形貯蓄制度がある場合は頭金を財形で貯めるのが有利です。「住宅財形」は元利合計で550万円までは利子に税金がかからないほか、低金利の財形融資を受けることもできます。

ポイント2. 低い金利で借りる

【表1】に見る通り、金利は総返済額に大きな影響を与えます。返済期間30年で3000万円を借りた場合、金利1%と2%では519万円も違ってきます。

低い金利で借りるには、できるだけ低金利状態にある時期に借りること、そしてできるだけ金利の低い金融機関を選ぶことに尽きます。そうは言っても、低金利の時期を自分で選ぶというのはなかなか難しく、現在のように歴史的な低金利状態にあるときは願ってもない借り時と言えます。

ローンの金利は金融機関によって差があります。特に、最近は貸し出し競争の激化から各金融機関が店頭表示金利より低い優遇金利を提示することも多いので、慎重に金融機関を選びましょう。また、金利とは別に各種手数料を無料にするキャンペーンを行っているところもあるので、こうした付加サービスも含めて検討を行う必要があります。

また、省エネや耐震性に優れた住宅にし、当初5~10年間は通常のフラット35より金利が0.3%引き下げられるフラット35Sの適用を受けることも検討の価値があります。

ポイント3.  借入期間を短くする

【表1】を見るとわかるとおり、借入期間を長く設定すれば、毎月の支払い負担は軽減される一方、完済までの総返済額は増加してしまいます。たとえば3000万円を金利2%、借入期間30年で借り入れる場合、借入期間10年と比較すると、毎月の支払いは16万6千円も安くなる一方、総返済額は679万円も多くなります。

ライフプラン表を作成して借り入れ後の返済力を検討し、その返済力の範囲内で毎月の返済額を増やし、借入期間はできるだけ短くすることです。特に金利が高い場合、返済期間が長いと支払利息の総額が膨らんでしまうので、借入期間を十分考慮する必要があります。

ただ、返済の途中で貯金が貯まるなど余裕資金ができたときは、「繰り上げ返済」という形で返済期間を短くすることができます。

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