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マンションの広告で価格の未表示があるのは、なぜ?

マンションの広告で価格の未表示があるのは、なぜ?

相談者: マンション広告で疑問がある30代主婦 松原宏子さん(仮名、横浜市)

新築マンションの購入を検討しています。チラシなどでマンションの広告を見ていますが、販売価格が記載されてないものがあります。どうしてですか?

回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを

マンションなどを売り出す際の広告には、「予告広告」と「本広告」という2種類があります。価格が記載されていないものは「予告広告」と呼ばれるものです。よく見ると、広告の目立つ場所に、14ポイント以上の比較的大きな文字で「予告広告」と表示されているはずです。また、隅の方に「本広告」の掲載予定日も記載されているのではないかと思います。

「予告広告」は販売予定時期が決まった段階で、価格以外の物件に関する情報を告知するものです。不動産の広告ルールを定めた表示規約では、本来、販売価格が決定しない限り、一切の情報提供ができないことになっています(表示規約第8条)。ただ、これでは物件の販売広告から申し込み締め切りまでの期間が短く、消費者が物件の比較検討をする時間的な余裕がないという問題点がありました。このため、消費者に物件選択の時間的余裕を与える目的で、価格以外の物件情報を告知できるようにしたのが「予告広告」です。

この「時間的余裕」は消費者のためだけでなく、実は不動産を販売する会社にとってもメリットがあるものです。不動産会社は「予告広告」で物件販売の告知をしてから「本広告」を出すまでの間を利用して、資料請求の数やモデルルームへの来場者数などから物件に対する消費者の反応をリサーチ。その結果を踏まえて最終的に販売価格を決め、「本広告」で表示します。

「予告広告」には、その目的に照らし、いくつかのシバリがあります。たとえば、「本広告」を行うまでは契約あるいは予約の申し込みに一切応じない旨を記載する必要があります。また、価格が正式に決まって「本広告」を出す場合、「予告広告」を出したのと同じ媒体、地域を使う必要があります。

「本広告」では、表示規約第8条で表示が義務付けられているすべての事項を記載し、正式に契約申し込みを勧誘することになります。価格については、複数の住戸が販売されるマンションの場合、最低価格、最高価格、最多価格帯およびその戸数が記載されます。

検討を急ぎたいのですが、本広告が出るまでは価格はわからないのでしょうか?

価格は「予告広告」による消費者の反応を見て最終決定となりますが、ただ、正式決定には至らないものの、一応の価格表(案)はできているのが通常です。そのため、販売会社の営業担当者に問い合わせれば、「正式には決まっていませんが、○○万円くらいになると思います」程度の答えは返ってくるはずです。

価格の案ができているのであれば、「予定価格」ということで表示しておけばいいと思うのですが、、、。

消費者は普通、そう思いますよね。ただ、「予定価格」であっても価格は価格です。仮に「本広告」に記載する正式価格が予定価格を上回った場合、「予告広告」に記載した「予定価格」は不当表示となってしまうからです。

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