家みつ

「モデルルーム」の見学で失敗しないためには?

「モデルルーム」の見学で失敗しないためには?

相談者:新築マンションの購入を考えている40代会社員 杉浦仁志さん(仮名、川崎市)

新築マンションのモデルルームを見に行こうと思っています。ネットで調べると、モデルルームは実際のモノとは違うので注意が必要と書いてあるだけで、どう対応すべきかまで触れられていません。失敗しないモデルルーム見学法を教えてください。

回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを

確かにモデルルームは実際のモノとは三重の意味で違います。ひとつは、モデルルームはいくつかあるタイプの中で最もおススメのタイプを選んで設置しているので、必ずしも自分が購入しようと考えているタイプのものとは広さや間取りが異なってきます。

二つ目は、モデルルームはインテリアのプロが最高の演出で素晴らしい住空間を創りあげていることです。そこで使われている設備やインテリアなどの多くは特別仕様であったり有料オプションです。また、住空間を広く見せるため、余分な家具や電化製品は置いていません。モデルルームの洗練されたイメージで購入後の住まいを考えていると、落差の大きさに気づかされることになります。

三つ目は、眺望や採光、通風、騒音、振動など住まいの環境が実際とは違うことです。特にモデルルームがマンションの建設地内にない場合は注意が必要になってきます。

以上の3点を踏まえ、では、具体的にどう対応したらいいのかに話を進めます。

まず、モデルルームの設備やインテリアについて、有料オプションとそうでないものを聞いて確認します。そのうえで、どんなにモデルルームが気に入ったとしても、1回目の見学ではすぐに返事をせず、契約しないことです。甘いセールストークや親切な対応、美しく素晴らしい住空間はモデルルームなんだから当たり前だと思うことです。衝動買いをしないためにも、少なくとも2回は行ってみる必要があります。

自分が購入したいタイプとモデルルームのタイプは違うことが多いので、1回目の見学時に必ず図面集をもらって帰り、購入を考えている部屋の間取りと広さを確認する必要があります。図面で特にチェックしておく必要があるのは点線で示されている梁(はり)の位置です。梁があまり出っ張っていると、その下にはベッドや背の高い家具を置きづらくなります。

また、モデルルームを見ただけでは耐震性や耐久性などがどうなっているかわからないので、1回目の見学時に住宅性能評価書(完成前なので「設計住宅性能評価書」)を見せてもらい、耐震性や断熱性能など10の分野にわたる性能の等級がどうなっているかをチェックしましょう。

1回目の見学時に資金プランまで提示されたときは、一度自宅に持って帰り、家族のライフプランなどとも照らし合わせてじっくり検討します。また、モデルルームがマンションの建設地内にない場合は、1回目の見学の後に必ず現地に足を運び、周囲の環境や最寄り駅までの時間を確認しておく必要があります。

2回目の見学時には、現在使っている家具や家電製品の寸法を測っていき、モデルルームでメジャー片手にそれらを実際に置いたときをイメージしてみましょう。また、必要なチェック項目を書き出したチェックシートを持っていき、チェックのし忘れがないようにします。

チェックシートですが、具体的にはどういう点をチェックしたらいいのでしょう?

柱や梁の出っ張り、天井や梁までの高さ、床の構造(直床か二重床か)、キッチン・トイレ・浴室などの換気具合、収納スペースは十分か、防音サッシ・二重サッシになっているか、などが主なものとなりますが、あとは自分が住まいで重要視する点がきちんとできているかどうかをチェックすればいいと思います。

仮に、モデルルームで購入契約をした後、クーリングオフ(無条件での契約解除)はできますか?

残念ながら、クーリングオフはできません。不動産売買の場合、不動産業者の事務所以外で契約した場合、8日以内であれば契約を解除できることになっています。しかしながら、モデルルームは「不動産業者の事務所」扱いになるからです。繰り返しになりますが、1回目の見学時にはいいと思っても契約はしないことです。

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