家みつ

マンション売却の諸費用、税金は? 損失が出たら?

マンション売却の諸費用、税金は?-損失が出たら?

相談者: 買い換えを検討している30代会社員 遠山寛之さん(仮名、東京・大田区)

買い換えを検討しています。売却するマンションの査定価格は2200万円ですが、諸費用や税金を引いた残りの手取りとしてはどのくらいになりますか?

回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを

不動産を売却したときの手取り金額を式で表すと、次のようになります。

手取り金額 = 売却価格 - (諸費用 + 税額 + 残債)

まず、注意が必要なのは売却価格で、これは必ずしも不動産仲介業者が提示した査定価格どおりになるわけではありません。仲介業者は自分のところに仲介依頼がくるように査定価格を高めに設定することがありますし、何よりも買い手はできるだけ安い価格で買おうとするからです。

残債は住宅ローンの支払いがまだ終わっていないときの、未払いの借入金残高です。売却価格にもよりますが、この残債が多ければ手取り金額はマイナスになるケースも出てきます。その場合、何らかの方法で資金調達をする必要があります。

次に、売却時に発生する諸費用ですが、通常は下記の3点で済みます。

  1. 仲介手数料 : 仲介業者に支払う手数料で、上限が「成約価格 × 3% + 消費税」に決められています。
  2. 印紙税 : 売買契約書作成に伴うもので、売買価格が1000~5000万円で1万5000円、5000万~1億円で4万5000円となっています。
  3. 抵当権抹消費用 : 抵当権を抹消する必要がある場合、登録免許税が不動産1件あたり1000円必要になります。行政書士に依頼すると、別途費用がかかります。

物件によっては、測量費用、建物解体撤去費用、改装費用(リフォーム、クリーニングを売主が行う場合)などが必要になる場合もあります。改装については、リフォームによって売却価格を引き上げられるのかなど、費用対効果を仲介業者に相談、検討してみる必要があります。

リフォームや解体撤去を行わなければ、仲介手数料が一番大きなものとなるわけですね。では、税金はどうでしょうか?

不動産を売却したときの税金ですが、譲渡益が発生した場合、譲渡所得について課税されます。分離課税なので、給与所得や事業所得とは分離して税額が計算されます。

譲渡所得は、譲渡価格から取得費と譲渡費用を差し引いたものになりますが、居住用不動産(マイホーム)の売却については特例が設けられており、譲渡所得から最高3000万円の特別控除を受けられるようになっています。このため、マイホームの売却では譲渡益があっても税金がかからないケースが多くなっています。

上で説明した譲渡所得の計算を式で表すと、次のようになります。

譲渡所得 =
売却価格 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) - 特別控除

税金がかかる場合の譲渡所得に対する税率は、売却した不動産を所有していた期間の長短によって差が設けられています。所有期間が5年を超えるものは長期譲渡所得として20%(所得税15%、住民税5%)、所有期間が5年以下なら短期譲渡所得として39%(所得税30%、住民税9%)となっています。

なお、取得費には、売却した不動産の購入代金、購入手数料のほか、購入後の改良費や設備費なども含まれます。また、譲渡費用とは不動産を売るために支出した費用で、前述した仲介手数料、印紙税など諸費用が該当します。

仮に譲渡損失が発生した場合は、他の所得との損益通算といった救済措置のようなものはありますか?

条件付きですが、損益通算が認められる特例があります。住宅ローンが残っているマイホームを、その債務残高を下回る価格で売却して損失が出た場合、その年の給与所得などから控除(損益通算)できるものです。その年の所得で控除しきれなければ、翌年から3年以内で繰越控除ができます。ただ、所有期間が5年を超えるマイホームで、売却時の住宅ローンの支払い期間が10年以上残っているという条件があります。

ページトップへ