「リフォームかし保険」で安心して中古のリフォーム
相談者: リフォーム工事に少し不安がある40代公務員佐藤雅夫さん(仮名、横浜市)
中古の戸建てを買ってリフォームしようと考えています。リフォーム工事後に工事の不具合や欠陥が見つかった場合、補償を受けられる制度ってありますか?
回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを
あります。まだあまり知られていませんが、リフォーム工事のかし((瑕疵)保険制度(リフォームかし保険)がつくられています。これは、2009年10月に住宅瑕疵担保履行法が施行されたことに伴い、そのリフォーム版として国が2010年からスタートさせたものです。
まずは、用語解説になりますが、「かし((瑕疵)」とは欠点や欠陥のあることです。「かし担保責任」とは、かしが見つかった場合、売り主(工事業者)は買い主(工事の発注者)に対してその責任を負うこと。簡単に言えば、売り主(工事業者)の費用で、かし部分の補修工事を行う必要があるということです。
「リフォームかし保険」は、リフォーム工事後にかしが見つかり、工事業者がかし担保責任を履行した場合(つまり、かし部分の補修工事を行ったとき)、工事業者に対して保険から補修費用が支払われるものです。仮に、工事業者が倒産などでかし担保責任を履行できないときは、リフォームの発注者に保険金が支払われる仕組みとなっています。
なるほど、そういう保険ができているんですね。その「リフォームかし保険」に入るためには、どうしたらいいのでしょうか?
「リフォームかし保険」は、消費者(工事の発注者)が入る保険ではありません。また、火災保険のように家(建物)が入る保険でもありません。この保険は登録事業者(リフォーム工事業者)が入るもので、仕組みを図で表すと下表のようになります。
まず、消費者(工事の発注者)が登録事業者(リフォーム事業者)に保険加入の依頼をし、登録事業者が保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)に対して保険加入の手続きを行います。
登録事業者というのは、あらかじめ保険法人に事業者登録を済ませているリフォーム事業者で、住宅瑕疵担保責任保険協会のホームページで検索できるようになっています。「リフォームかし保険」に入ってリフォーム工事を行いたい場合は、登録事業者の中から依頼する業者を選択する形となります。
保険法人は国土交通大臣が指定した住宅専門の保険会社で、現在、住宅あんしん保証、住宅保証機構など5法人が指定されています。リフォーム事業者はこの中から自由に選択して保険契約を締結します。
また、「リフォームかし保険」は検査と保証がセットになった保険制度で、リフォーム工事の施工中や工事完了後に検査員(建築士)による現場検査が行われます。この検査によって、施工に対する安心感も得られることになります。
検査も受けられるというのはいいですね。保険金の支払い対象や保険期間はどうなっていますか?
リフォームの工事後に欠陥が見つかった場合、保険から補修費用が支払われるわけですが、支払いの対象となるのはリフォーム工事を実施したすべての部分にかかわる欠陥・不具合です。ただし、設備機器や器具そのものは対象外となります。
保険期間は、構造および雨水防水部分にかかわる工事で5年、それ以外の工事で1年となっています。また、保険金の額ですが、事業者に支払われる場合は補修費用の80%、事業者の倒産等で発注者に支払われる場合は補修費用の100%となっています。