家みつ

妻も資金を出せば「共有名義」にする必要があるの?

妻も資金を出せば「共有名義」にする必要があるの?

相談者:共働きの妻の資金にも期待している30代公務員 山下伸哉さん(仮名、東京・大田区)

共働きをしている妻と二人で資金を出し合ってマイホームを購入しようと考えています。登記は二人の共有名義にすべきだと思いますが、共有名義をするにあたっての注意点を教えてください。

回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを

お問い合わせのように、夫婦二人で資金を出し合って住宅を購入する場合、二人の共有名義にしておく必要があります。共有名義によって得られるメリットももちろんありますが、それ以上に税金対策の点から必要になります。

5000万円の戸建てを、夫婦二人で下記のように資金を出し合って買うケースを例にとって、お話したいと思います。

購入価格 5000万円
  • 頭金 1000万円 (うち、夫 600万円、妻 400万円)
  • 借入金 4000万円 (うち、夫 2500万円、妻 1500万円)

頭金と借入金を合わせると、購入価格5000万円のうち夫の負担は3100万円(比率で62%)、妻の負担は1900万円(同38%)となります。これで、すべてを夫だけの名義にしたとすると、妻の資金負担分1900万円は夫に贈与されたとものとみなされます。1900万円の贈与では贈与税が670万円もかかってしまいます。ムダな税金を支払いたくなければ、二人の資金負担額に応じた持ち分割合で登記をする必要があります。

例に挙げたケースでは、夫の持ち分62%、妻の持ち分32%での登記となります。注意が必要なのは、家屋、土地、それぞれについて持ち分に応じた登記をしておくことです。建物部分も所有していないと、住宅ローン減税や売却時の減税の対象にならないからです。

このケースでは妻も1500万円の住宅ローンを組んでいるので、一定の条件を満たしていれば、夫婦それぞれが住宅ローン減税の控除を受けられることになります。共有名義にするメリットとしては、その住宅を将来、売ることになっとき、居住用財産を譲渡した場合の「3000万円特別控除」を夫婦それぞれが受けられる点も挙げられます。

夫婦が別々にローンを組むのではなく、夫婦連名で住宅ローンの借主になる夫婦連帯債務にした場合の持ち分割合はどうなりますか?

先ほど例に挙げたケースで、借入金4000万円を別々に借りるのでなく、夫婦連帯債務のローンにしたとします。この場合は夫と妻の年収に応じて借入額を按分します。夫の年収が600万円、妻の年収が400万円とすると、夫の借入額は4000万円のうちの6割にあたる2400万円、妻の借入額は4割に当たる1600万円と計算されます。

頭金を合わせた登記の持ち分は下記のようになります。
夫が ( 頭金600万円+借入金2400万円 ) ÷ 5 000万円 = 60%
妻が ( 頭金400万円+借入金1600万円 ) ÷ 5 000万円 = 40%

なお、夫婦連帯債務のローンの場合、年収に応じた借入金の按分額について、それぞれ住宅ローン減税の控除を受けることができます。

わかりました。では、夫婦共有名義のデメリットをお願いします。

夫婦共有名義の最大の難点は、万一、離婚する場合の対応です。完済していたり、完済していなくても売却すれば売却益が出る場合には、売却して利益を按分すればいいことになります。ところが、売却しても多額の債務が残る場合、また、どちらか一方が住み続ける場合にはやっかいな問題を抱える恐れがあります。その後のトラブル発生を防ぐには離婚時に名義変更をすることです。仮に共有名義のままでどちらか一方が亡くなった場合、その持ち分は再婚相手や親族の手に渡ることになり、トラブルの原因になってしまいます。

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