家みつ

不動産会社の「提携ローン」、使わなくてもいいの?

不動産会社の「提携ローン」、使わなくてもいいの?

相談者:不動産会社から提携ローンを紹介された20代公務員 前島豊さん(仮名、東京・世田谷区)

不動産会社から物件の購入にあたって「提携ローン」を紹介されました。提携ローンを使わなければいけないのでしょうか?

回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを

「提携ローン」は売主や不動産会社が特定の金融機関とあらかじめ提携し、物件購入者に一定の条件で提供することを決めている住宅ローンです。不動産会社は提携ローンを勧めますが、必ずしも提携ローンを使う必要はなく、自分で選んだ金融機関のローンに申し込んでかまいません。

安心しました。では、「提携ローン」のメリットって、何かあるのでしょうか?

不動産会社が提携ローンを勧める理由として、一般的には

  1. 金利が低く優遇されている
  2. 審査が通りやすい
  3. 手続きが簡単

の3点を挙げます。

金利については、確かに同じ金融機関の通常ローンに比べて0.1~0.3%低く設定されることが多くなっています。ただ、ネット専用銀行を交えた金融機関の貸し出し競争は激しく、多くの金融機関が金利優遇や各種手数料の無料化などを打ち出しています。ですから、提携ローンの優遇金利が必ずしも他と比べて有利であるとは限りません。また、提携ローンの金利優遇は通常、固定金利選択型(全期間一律優遇タイプ)への適用となっており、この金利タイプでいいのかどうかも考えてみる必要があります。

審査については、審査項目のひとつである物件の担保評価が事前に済んでいるため、審査期間が短くなるのは確かです。金融機関によっては年収や返済負担率などの基準を緩くするところもあると聞きますが、これは事前に不動産会社を通じて確認しておくことが必要でしょう。

3番目の「手続きが簡単」ですが、これはこの通りです。ほとんどの手続きは不動産会社が代行してくれるので、自分で行う必要があるのは収入証明書や住民票の入手くらいです。ある調査によると、住宅ローンを設定した人のうち提携ローンを選んだ比率は約65%に達していますが、これは手続きが楽なことが大きな要因になっているのかもしれません。

逆に「提携ローン」のデメリットって、
何かありますか?

不動産会社に5万円程度の提携ローン手数料を支払う必要があることです。これを手続き代行料として考え、高いとみるか、安いとみるかですね。

わかりました。では、自分でローンを選ぶ場合、何か注意点があったら教えてください。

そうですね。金利は大事ですが、提示された目先の金利だけにこだわらず、長期的、総合的に考えることが必要だと思います。

長期的という点では、自分のライフプランや返済力に最も適した金利タイプを選ぶことです。たとえば、優遇金利では固定金利期間選択型・当初期間重視タイプの引き下げ幅が目先的には最も大きいわけですが、このタイプが自分のライフプランに照らし合わせてベストなのかどうか、考えてみる必要があります。

また、総合的という点では、貸し出し競争が激しくなっている中、保証料や事務手数料、繰り上げ返済手数料などを無料にする金融機関も出てきています。金利だけでなく、諸費用も含め自分にとってトータルで最も有利な金融機関のローンを選びましょう。

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