仲介手数料がかからない分譲業者から買った方がトク?
相談者:分譲業者と仲介業者、どちらがトクか悩む20代会社員 佐々木貴子さん(仮名、東京・大田区)
ある住宅関連のサイトを見たら、仲介業者から買うより、分譲業者から直接買った方が仲介手数料がかからないのでトクだと書いてありました。何となくそんな感じもしますが、本当ですか?
回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを
確かに分譲業者から買えば仲介手数料は必要ありません。仲介手数料は宅建業法で上限が (物件価格×3%+6万円)×消費税(5%) と決められているので、3000万円の家を仲介業者から買えば100万8千円もかかります。できることなら払いたくないですよね。
この仲介手数料ですが、中身は「仲介業者の販売経費(人件費、事務費、広告宣伝費etc)+適正利潤」です。では、分譲業者が自分たちでつくった新築物件を消費者に直接販売するとき、経費はかからないのでしょうか。
いや、経費はやっぱりかかりますよね。新聞の折り込み広告もよく見かけますし、大きなマンションだと現地にショールームなんかも設けていますし、、、。
そうなんです。分譲業者も販売するために人手とお金をかけています。大手デベロッパーの現地ショールームなんてデラックスだし、常駐スタッフも多く揃えています。 広告宣伝費だって仲介業者の比ではありません。ただ、分譲業者はその販売経費を仲介業者とは違って仲介手数料で賄うことはできません。では、どうするか。価格に上乗せするわけです。つまり、分譲業者の販売価格は、仲介手数料がかからない分だけ高くなっているということになります。ユーザーの立場で考えると、販売経費を仲介手数料として払うのか、物件価格に含ませた形で払うのか、という違いだけです。
なるほど。結局は同じなんですね。では、仲介業者に販売をお願いする住宅会社、不動産会社というのはどういうところになるんですか?
あまり大きくない会社で、直接販売できるだけのスタッフも資金力も持っていないところですね。そういう会社は仲介業者に依頼して成功報酬として手数料を支払った方が安上がりだし、リスクも小さくなります。
そのほかで、分譲業者と仲介業者の大きな違いって、どういう点がありますか?
一番大きいのは立ち位置というか、ポジションの違いですね。分譲業者はお客さまに自社の商品を買ってもらうのに対し、仲介業者は自社を通して買ってもらう(商品はどれでもいい)という立場です。このポジショニングの違いで、分譲業者は自社の物件については構造や設備など細部にわたって詳しい半面、周囲の物件との比較なんかは得意ではありません。一方、仲介業者は商品ごとの特性についてはそれほど詳しくない半面、地域の物件と比べることは得意です。一長一短ありますが、希望する地域でいろいろ探すなら、信頼できる仲介業者を見つけるのが一番だと思いますよ。