固定金利、変動金利、どちらを選ぶ?~資金計画の前に知っておきたい住宅ローン知識~
住宅ローンの金利には大きく分けて変動金利、固定金利の2つのタイプがあり、固定金利はさらに固定する期間によって期間選択型と全期間型に分かれます。それぞれのメリット/デメリットについては、「金利のタイプ(変動金利と固定金利)」に詳しく書きましたので、そちらをご覧ください。
もくじ
金利のタイプについて
簡単にまとめると、金利は低いけど将来的なリスクがあるのが変動金利、金利は高いけどリスクがないのが全期間型の固定金利。金利もリスクもほどほどというのが期間選択型の固定金利と言えます。
では、何を基準にして金利のタイプを選べばいいのでしょうか。現在の金利水準、今後の金利・景気見通し、借入額、借入期間、返済余力、ライフプランなどを慎重に考慮する必要がありますが、基本的には金利(現在の水準、先行きの見通し)が最重要の選択ファクターとなります。ただ、個人によって返済リスクとリスク許容度は異なるので、一般論としての基本的な考え方に個人の事情を加味する必要があります。
選択の基本:金利状況(現在の水準、先行きの見通し)によって選ぶ
金利が現在のような底値水準にあるとき
仮に金利がさらに下がったとしても、下げ余地はわずか。逆に、何カ月、何年先かはわかりませんが、将来的には上昇する可能性が大きくあります。こうした場合、金利が上昇しても返済額が変わらない固定金利を選ぶのが常道です。金利自体も変動金利に比べれば相対的に高いものの、歴史的に見れば低い水準にあります。変動金利では当初の負担は低く抑えられるものの、金利上昇に伴って支払利息が増加、返済負担が当初より大きく膨らんでしまうリスクがあります。
金利が高値水準にあるとき
金利水準が過去のトレンドから見て高値水準にあるときは、仮にさらに上がったとしても上げ余地はわずか。将来的には下がっていく可能性が高いと言えます。この場合は、将来の金利低下メリットを享受できる変動金利を選択すべきです。途中で金利が低下から上昇に転じる見通しとなったときは、その時点で期間選択型の固定にスイッチすればよいのです。最初から固定で組んでしまうと、金利低下メリットを享受できず、完済まで高い金利の利息を払い続けることになります。
金利水準が中間的な位置にあって先行きが見通し難いとき
金利水準が過去のトレンドで見て中間的な位置にあり、今後上がるのか下がるのか見通し難いときは2つの選択肢があります。ひとつは2~5年程度の期間選択型固定金利を選び、様子を見ること。当初の固定設定期間が終わった段階でもう一度金利状況を考え、変動か固定を選び直します。
もうひとつは「金利ミックス」を選択すること。ローンの設定を変動と固定の2本立てにすることで、将来の金利変動リスクを抑えることができます。金利が上がる可能性が大きいと思えば固定金利の比率を高め、下がる可能性が大きいと思えば変動金利の比率を高める作戦も取ることができます。
※「金利ミックス」については、「住宅ローンの裏ワザ(タイプの違うローンを組み合わせる)」に詳しく書きましたので、そちらをご覧ください
返済リスク、リスク許容度によって選ぶ
借入金額が大きく、返済期間が長いと返済リスクは大きくなります。特に変動金利の場合、金利上昇による返済リスクは大きなものがあります。変動金利でも返済額の見直しは5年に1回なので、5年間は返済額自体に変更はありません。ただ、返済額に占める利息の割合が高くなって元金返済分が減少。金利が急上昇した場合は未払い利息が発生してしまう恐れもあります。変動金利が有利に思える場合も、この金利が上昇したときのリスクを、自分のライフプランやリスク許容度と照らし合わせて十分考慮する必要があります。
リスク許容度は返済能力や余裕資金などの大小で異なります。たとえば、夫婦共働きで、しかもローンの返済額が夫の年収の30%にとどまっていれば、返済能力は高く、リスク許容度も高いと言えます。預貯金が多い場合も、預貯金の取り崩しができるので、リスク許容度は高くなります。リスク許容度が高ければ、リスクがあっても金利が低い変動金利を選択できる幅が広がります。変動金利で、金利が低いうちに余裕資金で積極的に繰り上げ返済を行って返済期間を短縮、金利の上昇リスクを抑えるという作戦も可能になります。