生活の中に和のデザインを南部鉄瓶の魅力
洋風のライフスタイルはスタイリッシュで効率的、現代社会で生きていくには暮らしやすさを感じます。でも、和のスタイルも忘れたくない！和室にちゃぶ台というのは難しいかも知れませんが、鉄瓶を使ってみてはいかがですか？最近では日本人より海外の方に人気が高いと言われる南部鉄器の魅力を見返してみましょう。
もくじ
南部鉄器とは？
南部鉄器は岩手県南部地方で作られる鉄器です。日本初の伝統工芸品に認定されました。その歴史は古く17世紀中ごろまでさかのぼります。当時の南部藩主が釜を作る職人を京都から招き茶の湯の釜を作らせたのがはじまりです。その後多くの職人を日本中から集め、その技術を保護し発展させていきました。昭和期には日本の伝統工芸の多くが近代化の中で生産量が減少、南部鉄器も最盛期の1／3ほどに落ち込みました。
南部鉄器のどこがいいの？
お水を沸かすなら重たい鉄器よりもアルミやステンレスのおやかんのほうが便利！それこそが生産量が低下した原因なのですが鉄器には様々な魅力があります。
1.知らないうちに鉄分補給
鉄瓶でお湯を沸かすことで瓶の微量な鉄分がお湯に溶けだします。貧血気味の女性には鉄分補給ができるのはうれしいですね。しかも、南部鉄から溶出される鉄分「二価鉄(ヘム鉄)」は体内に吸収されやすいのが特徴です。
2.知らないうちにカルキ抜き
鉄瓶で湯を沸かすと水の中のカルキ(石灰分)などを鉄瓶の肌が吸収します。カルキが抜けたお水はまろやかで甘みが増しますよね。 吸収されたカルキは「湯垢」になります。湯垢というとあまりいい気持ちはしませんが、お風呂のそれとは違い鉄瓶に吸着した石灰分(カルキ)は錆止めの作用をします。つまり、お湯を沸かすことでお水をおいしくしながら、さびも防ぐという二つのうれしい効果があります。
3.一生使える
鉄瓶は鉄でできておりとっても丈夫！日常的に使うのであれば乾燥をしていれば特別な手入れをしなくてもサビの問題もありません。一生もの、というよりも何代にもわたって使い続けることができます。
4.緑茶で鉄分が減ることはない
貧血用のお薬を飲むときにお茶で飲むと吸収されにくい、という話があります。そのことからせっかく鉄瓶で鉄分たっぷりのお湯ができても紅茶やお茶にしたら鉄分が減る(お茶のタンニンと結びつくので体内に取り込めない)と思っている方もいらっしゃるようです。これは、間違いであることがすでに判明しています。ですから、おいしく安心してお茶を召し上がっていただけますよ！
南部鉄器はどこで買う？
南部鉄器は食器を扱う百貨店やショップ、ネット通販で購入することができます。また、先ほど説明したように｢一生もの｣長く使えるものですのでネットオークションで古物を見つけることもできますよ！
南部鉄器どんな商品があるの？
さて、南部鉄器といえば「鉄瓶」が有名ですよね。それ以外にも様々な商品があります。
●急須
鉄瓶の急須はデザインもさまざまです。鉄瓶の急須は近年開発された色つきのものもあります。鉄の黒地の上からウレタン樹脂と食品顔料で塗装を施したカラフルな商品も出ています。赤やブルー、ピンクなどビビットなカラーもあります。和の文化を大切にしながら洋風の生活スタイルに取り入れやすいデザインです。
●鉄なべ・フライパン
鉄のフライパンもお食事を作る段階でお料理に鉄分が溶けだします。煮炊きに使えるものからちょっと大きめのお鍋もあるので、ご自身の使いやすいサイズを探すのも楽しいですね。蓄熱、保温性も高いので煮込み料理などにお使いいただくとじっくりと食材のうまみを引き出してくれます。 また、現在人気の「スキレット」あれは鋳物ですよね。南部鉄も鋳物です。お手頃価格のスキレットよりももっと使いやすい小型のフライパンもあります。ワンパンで料理後そのまま食卓に出せる小さなフライパンは家族の人数分あってもいいくらい便利です。
●鉄瓶
鉄瓶は現在でいうやかんです。ご家庭で使うなら1Ｌ前後の容量が使いやすいですよ。ネットオークションで販売されている古い鉄瓶はサイズの大きいものもありますが、鉄瓶自体が重たいのでお湯を沸かすときにかなり重たくなってしまいます。
●炊飯用鍋
南部鉄でできたご飯を炊く専用のお鍋はかなりおススメです。羽釜の形をしたお鍋で蓄熱性もあるので炊飯から蒸らしまで効率的に加熱ができ、おいしいご飯を毎日食べることができます。電気炊飯器では楽しめない「おこげ」を楽しめるのもいいですよね！
海外からの逆輸入人気生活用品
日本で暮らしていると身近すぎてあまり気が付かなかった製品の魅力を他国の人が気づき人気になる商品がたくさんあります。南部鉄器もその一つです。近頃は日本人と同じくお茶を楽しむ文化を持つ中国の方が日本に来て鉄瓶を購入するケースや、古い鉄瓶をアンティークの趣味を兼ねて購入、中国に持ち帰るケースもあるようです。日本で大切にしていた文化が海外に受け入れられ得るのはうれしいですが、やっぱり自分たちでも楽しんで伝えていきたいですね。
