知っておきたい法律知識~資金計画の前に知っておきたい住宅ローン知識~
もくじ
住宅の品質・性能保証、補償に関するもの
住宅品質確保法(品確法)
住宅の品質を確保するために2000年に施行された法律で、正式名称は「住宅と品質確保の促進等に関する法律」。品質確保のために設けられた制度は2つあり、ひとつが新築住宅に対する10年間の瑕疵担保責任の義務づけ、もうひとつが住宅性能表示制度による住宅性能評価書の交付です。
新築住宅に対する10年間の瑕疵担保責任の義務づけ
まず、新築住宅に対する10年間の瑕疵担保責任の義務づけですが、これは新築住宅の購入後、住宅の基礎・構造部分に瑕疵(通常は見つからない欠陥)が見つかった場合、買主は購入後10年間、販売・施工業者に対し補修などの請求ができるものです。
住宅性能表示制度による住宅性能評価書の交付
もうひとつの住宅性能表示制度は、客観的な住宅性能表示基準を設け、耐震性や省エネルギー性などの住宅性能を事前に比較検討できる住宅性能評価書を交付するものです。住宅性能評価書の交付は第三者機関の「登録住宅性能評価機関」が行いますが、住宅の設計段階において設計図等から住宅性能を客観的に評価する「設計住宅性能評価書」、施工段階、完成段階の住宅を実際に検査して評価する「建設住宅性能評価書」の2通りあります。建設住宅性能評価書の交付を受けるには、設計住宅性能評価書の交付を受けていることが前提になります。
なお、新築住宅でスタートした住宅性能表示制度ですが、2002年から既存住宅(中古)も対象となっています。
住宅瑕疵担保履行法
上記の住宅品質確保法で定められた新築住宅に対する瑕疵担保責任を確実に履行させるための法律。施工者や売主に保証金の供託を求め、保証金の供託を行わない施工者・売主には住宅瑕疵担保責任保険への加入を義務づけています。住宅に瑕疵が見つかり、事業者に資力がない場合でも、保証金や保険金によって買主は保護されます。
建築制限や土地利用に関するもの
都市計画法
都市の健全な発展と秩序ある整備を図る目的でつくられた法律で、これに基づいて各地の土地利用のあり方や市街地開発の基本方針を定める都市計画がつくられます。
住宅にかかわる都市計画で重要な意味を持つものは「用途地域」です。都市計画の土地利用では、市街地として積極的に開発、整備する「市街化区域」と、開発を原則として抑制する「市街化調整区域」に区分されます。「市街化区域」ではほとんどの地域で住宅を建てることができますが、良好な生活環境を保つため、さらに12の区域に分けて建設できる建物の種類を制限しています。これが「用途地域」と呼ばれるものです。
「用途地域」は、住居系7(第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域)、商業系2(近隣商業地域、商業地域)、工業系3(工業地域、準工業地域、工業専用地域)の12に分かれます。このうち、住宅が建てられないのは工業専用地域だけです。
そして、この用途地域ごとに建ぺい率、容積率が定められています。建ぺい率は敷地面積に対する建築面積の割合のことで、用途地域ごとに30%~80%の範囲で制限されています。容積率は敷地面積に対する建築延べ面積の割合で、用途地域ごとに50%~1300%の範囲で制限されています。
建築基準法
建物を建築する上で守るべき最低限の基準を明示した、建築にかかわる基本的な法律。個々の建物の安全性や居住性を一定レベル以上に保つほか、建築物相互の秩序を保つことを目的にしています。
住宅建築や大規模な増改築にあたっては、建築基準法に基づき、建築主は建物が建築基準法をはじめとする法令に適合しているかどうか建築主事や確認検査機関に確認申請を行い、建築確認通知書の交付を受ける必要があります。
マンションに関するもの
区分所有法(通称マンション法)
一棟の建物の一部を所有する分譲マンションの所有権を「区分所有」という形で定めたもので、正式な名称は「建物の区分所有等に関する法律」。区分所有権はマンションのそれぞれの購入者が自由にできる部分(専有部分)の権利。共用部分や敷地は、建物全体の合計専有面積に対する区分所有の割合による「共有持ち分」という形になり、購入者が勝手に処分することはできません。
また、区分所有法3条には、マンションの区分所有者全員で構成する管理組合がマンションの管理を行うと定めています。