回答者：ファイナンシャルプランナー　家塚みつを

国が中古住宅の流通市場整備の方針を打ち出しているのに合わせ、不動産会社や金融機関の間で中古住宅を買いやすくする動きが出てきています。「ワンストップサービス」と呼ばれるもので、これまで中古住宅購入のひとつのネックとなっていた複数のプロセスを一本化するサービスです。ワンストップの中身は様々ですが、ローンについては、これまで購入時の住宅ローンと購入後のリフォームローンの2本立てとなっていたものを、住宅ローンに一本化するワンストップサービスです。

そうです。この「物件価格＋リフォーム費用」を住宅ローンに一本化する動きは、住宅ローンを提供する金融機関側と中古住宅を仲介する不動産会社側の双方から出てきています。

まず、金融機関側の取り組みを紹介すると、いち早くワンストップサービスを始めているのが「みずほ銀行」です。物件の購入費用とリフォーム費用を住宅ローン1本にまとめるもので、中古物件にかかわる条件は特に設定されていません。どこの不動産会社を通して買ったものでもOK、築年数やリフォーム費用の上限も設定されていません。金利プランも通常の住宅ローンと同じものを選ぶことができます。ただ、通常の住宅ローンと同様に、保証会社の審査をパスする必要があります。

また、住宅金融支援機構の「フラット35」でも、「物件価格＋リフォーム費用」をセットで融資する「リフォームパック」を始めています。これは「フラット35」と取扱金融機関の提供するローン(フラット35パッケージ)を利用する仕組みですが、残念ながら取扱金融機関はまだ少ないです。

「フラット35」では「リフォームパック」とは別に、中古住宅を買いやすくする「中古住宅特例融資」制度もスタートさせています。通常の「フラット35」では購入価格の9割が融資限度額となっていますが、「中古住宅特例融資」を申し込むと、購入価格の10割を上限に「中古住宅の購入額」と「リフォーム工事費」の合計額の9割まで融資が受けられます。

メリットは3つあります。

1. 金利が安くなる、
2. 返済期間を長くできる
3. 手続きが簡単になる

ことです。

通常のリフォームローンは無担保融資なので、住宅ローンに比べて金利が高く、返済期間も最長で10～15年にとどまっていました。先ほど紹介したみずほ銀行の例では、リフォームローンの金利は10年超の固定金利で5.20%、変動金利で3.975%(いずれも13年2月現在)、返済期間は最長で15年。これに対し住宅ローンは借入期間11～15年の固定金利で1.9%、変動金利で0.875%(引き下げ適用後、いずれも13年2月現在)、返済期間は最長35年です。金利が低く、返済期間も長く設定できることから、毎月の返済負担は大きく軽減されることになります。

「フラット35」の「リフォームパック」の場合、リフォーム部分の「リフォームパッケージ」の金利は通常の「フラット35」より少し高くなります。SBIモーゲージでは、フラット35の金利(期間15～20年で1.65%、21～35年で2.01%)に対し、「リフォームパッケージ」の金利は2.975％(期間15～35年)となっています(いずれも13年2月現在)。

これは、中古物件を扱う不動産会社とリフォーム会社が提携し、中古物件の購入とリフォームを1本化するものです。

たとえば、不動産仲介フランチャイズを展開するセンチュリー21では住宅リフォームを手掛けるパナソニックのリファインショップと提携。ユーザーが購入を希望する中古住宅にリフォームを自由にオーダーし、そのリフォームが実施された後で物件を購入するシステム「リボーン住宅」を始めました。リフォーム後の引き渡しとなるので、物件購入費用だけでなくリフォーム費用も加えたトータルの費用が住宅ローン1本で組めることになります。

ただ、中には「物件購入＋リフォーム」のワンストップサービスをうたっているものの、単にリフォーム会社を紹介するだけのものもあるので、サービスの中身をよくチェックしてみる必要があります。