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不動産のクーリングオフ、有効期間と注意しておくべきことは?

11_不動産のクーリングオフ、有効期間と注意しておくべきことは?
不動産のクーリングオフ制度は宅地建物取引業法に基づいて、契約から8日以内であれば、消費者の方から一方的に契約を解除することができることを定めた制度です。不動産のクーリングオフ制度は売主が宅建業者であるか否かや、申込み(契約)の場所が喫茶店なのか事務所なのかで適用されるかどうかが変わるなど、宅地建物取引業法で取り決めがされています。

そもそもクーリングオフ制度とは?

クーリングオフ制度とは、消費者保護の観点から、契約から一定の期間内であれば、消費者からの申し出で契約を解除することのできる仕組みのことです。クーリングオフできる契約は法律で定められています。代表的なものに特定商取引法がありますが、特定商取引法では、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続役務提供、業務提供誘因販売取引、訪問購入の7つを対象としています。

特定商取引法に定められた契約であれば、申込みまたは契約後に法律で定められた書面を受け取ってから一定期間であれば、無条件に解約することができます。一定期間とは、訪問販売、電話勧誘販売、特定継続役務提供、訪問購入においては8日間、連鎖販売取引、業務提供誘因販売取引においては20日間です。尚、通信販売にはクーリングオフ制度はありません。

特定商取引法以外に、クーリングオフについて定めた法律としては、電子消費者契約法や無限連鎖講防止法、金融商品取引法、保険業法、割賦販売法、宅地建物取引業法などがあります。

不動産のクーリングオフが適用される条件

不動産の契約におけるクーリングオフは、宅地建物取引業法によって定められていますが、クーリングオフが適用されるためには条件があります。

クーリングオフの適用条件

1.宅地または建物の売買契約であること

ここでいう宅地とは、宅地とは建物の敷地としての土地という意味です。現に建物の敷地として使われている必要はなく、将来的に建物を建築する場合であれば良く、また地目が宅地である必要もありません。

2.売主が宅地建物取引業者であり、買主が宅地建物取引業者でないこと」

売主が宅地建物取引業者でない場合と、買主が宅地建物取引業者である場合にはクーリングオフ制度は利用できません。表にまとめると、以下のようになります。

クーリングオフの可否 売主 買主
宅建業者 宅建業者でない
× 宅建業者 宅建業者
× 宅建業者でない 宅建業者でない
× 宅建業者でない 宅建業者

売主と買主との間に仲介業者が入る場合もありますが、仲介業者が宅建業者であっても、売主が宅建業者でない場合にはクーリングオフは適用されません。

例えば、宅建業者ないものが所有する土地を仲介業者経由で、宅建業者でないものが購入して、その土地の上に新築をした場合にはクーリングオフを利用することはできません。宅建業者が所有する土地を、宅建業者経由で、宅建業者でないものが購入した場合にはクーリングオフを利用することができます。

クーリングオフの可否 売主 買主 仲介業者
宅建業者 宅建業者でない 宅建業者
宅建業者 宅建業者でない 宅建業者でない
× 宅建業者でない 宅建業者でない 宅建業者

尚、宅建業者とは、国土交通大臣や都道府県知事の免許を受けて、宅地建物取引業を営む物のことを指します。

3.宅地建物取引業者の事務所等(店舗、営業所、案内書、モデルルーム)以外の場所で買受けの申込み、または契約締結をした買主であること

宅地建物取引業者の事務所等で締結した契約においてはクーリングオフ制度を利用することはできません。

事務所等以外の場所で契約した場合、クーリングオフの対象となりますが、例外として、先に事務所等で買受の申込みを行い、その後、事務所等以外で契約した場合にはクーリングオフの対象外となります。

また、買主からの申出により、自宅または勤務先で契約した場合にはクーリングオフの対象外となります。買主からの申出による場合でも、ホテルや喫茶店等の場合にはクーリングオフの対象となります。

4.クーリングオフについて書面を交付して告げられた日から8日以内であること

クーリングオフは、宅建業者から書面を交付して告知してから、8日以内であれば行うことができます。宅建業者から告知がない限りは永久にクーリングオフが可能です。

5.契約の代金全額を支払っておらず、かつ対象物件の引き渡しを受けていないこと

代金金額を全額支払っていても、引き渡しを受けていなければクーリングオフ可能です。

クーリングオフしたい場合は?

クーリングオフは、クーリングオフについて告知を受け、書面を交付された日から8日以内に、買主からの書面による方法で行います。クーリングオフを書面による方法で行うことは法律によって定められており、紙で渡しさえすればどんな形でも構いません。実際には8日以内という時間制限があるため、内容証明郵便で行うことが一般的です。

クーリングオフ制度を利用して解約された契約は、すべて契約前の状態に戻すことになります。支払済みの着手金や申込金があれば無条件で変換されます。また、何らかの費用が発生している場合、契約前の状態に戻す費用は、すべて業者負担です。

このように、クーリングオフ制度は宅建業者にとってリスクの高い制度です。実際には、ほとんどの不動産売買契約が、宅建業者の事務所で行われるため、不動産の売買においてクーリングオフ制度を利用する機会は多くありません。

クーリングオフができない場合でも、手付金の放棄による契約解除やローン特約による白紙解約、債務不履行による契約解除など契約を解除する方法はいくつかあります。契約を解除したい場合で、クーリングオフが利用できない場合にはそれらの方法を検討してみると良いでしょう。

まとめ

通常、不動産売買契約は、宅建業者の事務所等にて行われるため、ほとんどの場合クーリングオフ制度の適用条件を満たすことはありません。不動産売買契約におけるクーリングオフの適用条件について事前に知識を得て、自分がした不動産売買契約について不安に思うことがあればできるだけ早めに制度の利用を検討しましょう。

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