不動産購入後、税務署から「お尋ね」が来たら
通称「お尋ね」とは
マイホームなど不動産を購入すると、数か月のうちに、税務署から通称「お尋ね」と呼ばれる問い合わせ書類が送られてくることがあります。正式な名称は「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」というもので、不動産購入に使った資金の内訳や共有名義などについて、一定の書式に基づいて回答を求めるものです。
「お尋ね」が送られてきたからといって、マイホーム購入に伴う税務について税務署から疑われているわけではありません。税務署の目的は、マイホーム購入資金の出所に不自然なところがないかどうか確認することです。記入が求められている事項について、正確に書いていけば通常は何の問題も生じません。
記入事項
記入が求められる事項としては、買い入れた資産の内容・価格、支払い金額の調達明細、共有者があれば共有名義と持分が主なものです。支払い金額の調達明細については、借り入れがあれば借入先と借入金額、贈与を受けていれば贈与人の氏名を書きます。
「お尋ね」で注意すること
親からの資金援助がある場合
注意が必要なのは、親からの資金援助がある場合です。借入金として税務署から認められるには、借用証をつくって、実際に返済を行っていることが必須となります。返済が難しい場合は、住宅取得資金の贈与特例や相続時精算課税制度を使った贈与税がかからない贈与にしておくのが賢明です。
夫婦の共有名義となっている場合
夫と妻が資金を出し合って購入し、二人の共有名義となっている場合、資金の負担割合と持分割合が同じになっている必要があります。仮に、頭金とローンを合わせた妻の資金負担割合が20%なのに、持分は30%に高まっている場合、その差額の10%は夫から妻へ贈与したものとみなされ、贈与税がかかってくることになります。
税務署が不自然とみなすケース
親からの支援金や共有名義の点以外で、戻ってきた回答を税務署が不自然とみなすケースとしては、
- 購入価格が収入に比べて高すぎる
- ローンの借り入れが収入に比べて多すぎる
- 現金による頭金の支払いが多すぎる
などがあげられます。税務署が回答内容に疑問があると判断した場合、「呼び出し」や「実地調査」を受けることになります。また、「お尋ね」が届いたのに無視して返答しないときも、同じような扱いをされるので、きちんと正確に回答を書いて返送するようにしましょう。