「連帯債務者」「連帯保証人」「保証人」って、どう違うの?
相談者: 「収入合算」でのローンを検討している30代会社員 坂本賢治夫さん(仮名、東京都品川区)
妻の年収を加えた「収入合算」で住宅ローンを考えていますが、収入合算にした場合、妻は「連帯債務者」もしくは「連帯保証人」になる必要があると聞きました。「連帯債務者」と「連帯保証人」、どう違うのでしょうか?
回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを
「収入合算」は、本人の年収だけでは希望する住宅ローンの金額を借りられないとき、配偶者や子どもの年収を加えて所得基準をクリアするものです。その場合、本人の年収に見合った以上の金額を借りることになるので、当然、収入を合算される人(合算者)も、その借り入れ(債務)について責任を負う必要があります。責任を負う立場として「連帯債務者」もしくは「連帯保証人」になるわけですが、責任の負い方に違いがあります。
「連帯債務者」は「連帯して債務を負う者」で、借り入れた本人と同じ債務者の立場で返済の義務を負います。このため、仮に借り入れた本人からの返済が滞っていなくても、債権者(融資した金融機関)は「連帯債務者」に対して返済請求ができます。
一方の「連帯保証人」は、借り入れた本人と連帯して債務を保証する立場です。債権者に対して債務者となるのは本人だけで、「連帯保証人」は債務者にはなりません。このため、債務者となる「連帯債務者」は住宅ローン減税を受けられますが、債務者ではない「連帯保証人」は住宅ローン減税を受けられません。
そうは言っても、「連帯保証人」も限りなく債務者に近い立場で、法的には「連帯債務者」と同様、債権者は債務者からの返済が滞っていなくても、「連帯保証人」に対して返済請求ができます。ただ、住宅ローンの場合、実際上は「連帯保証人」が債権者から返済請求を受けるのは債務者本人の返済に何らかの問題が生じている場合です。
なるほど。いずれにしても債務者とほぼイコールの立場になるわけですね。収入合算するとき、「連帯債務者」か「連帯保証人」、こちらで選択できるのでしょうか?
収入を合算される人が「連帯債務者」になるのか、「連帯保証人」になるのかは、取り扱い金融機関の定めるところによって決まります。住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して融資する「フラット35」では「連帯債務者」となる決まりになっています。民間金融機関では金融機関によって対応が異なりますが、「連帯債務者」の取り扱いはしないで「連帯保証人」とするところが多くなっています。
最後に、住宅ローンを借りるとき、保証会社に保証料を払って保証人になってもらうようですが、「連帯債務者」と「連帯保証人」は「保証人」とはどう違うのでしょうか?
法律で定められた権利の話になりますが、「連帯債務者」および「連帯保証人」は、単なる「保証人」には与えられている2つの権利を持っていません。その権利とは「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」と呼ばれるものです。
「催告の抗弁権」とは、債権者から支払いの請求を受けたとき、「先に債務者本人に請求せよ」と主張できる権利。「検索の抗弁権」とは、主たる債務者(借りた本人)に財産があるにもかかわらず、債権者から競売等の執行を受けたとき、「先に債務者の財産から執行せよ」と主張できる権利です。この2つの権利を持たないのは、「連帯債務者」「連帯保証人」が単なる「保証人」とは違って、債務者とほぼ同じ責任を負うところからきています。