不動産の名義変更するにはどうすればいい?やり方を徹底解説!
売買や相続、贈与等で不動産の所有者が変わるときには、名義変更の手続きをする必要があります。今回は不動産の名義変更をするために必要な手順と費用についてお伝えします。
不動産の名義変更をするために必要な手順
不動産の名義を変更する主な事由としては、売買や相続、贈与などがあります。それぞれに必要な手順は以下の通りです。
売買による不動産の名義変更に必要な手順
売買による不動産の名義変更に必要な手順は以下の通りです。
- 売買契約を締結する
- 契約書や登記識別情報通知(権利証)、固定資産課税評価証明書などの必要書類を準備する。
- 司法書士に名義変更を依頼する場合は見積もりを依頼し、委任状を準備する。
- 決済日に名義変更に必要な書類を確認し、登記申請をする。
- 通常1週間程で所有権移転登記が完了し、登記識別情報通知(権利証)が発行される。
売買による不動産の名義変更に必要な書類
- 売主側
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- 登記識別情報通知(権利証)
- 印鑑証明書(3カ月以内のもの)
- 買主側
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- 住民票
- その他
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- 登記原因証明情報(売買契約書など)
- 固定資産評価証明書
- 登記事項証明書
- 司法書士に依頼する場合は本人確認資料(運転免許証のコピー等)
売買による不動産の名義変更の期限
一般的には、手順に書いてある通り、売買契約の全金額が振り込まれる決済日に手続きをします。
相続による不動産の名義変更に必要な手順
相続による不動産の名義変更に必要な手順は以下の通りです。
- 相続人全員で相続財産を誰の名義にするのか話し合う。
- 話し合いがまとまったら遺産分割協議書を作成する。
- 亡くなった方の出生から死亡までのすべてがわかる戸籍謄本や相続人全員の印鑑証明書などの必要書類を準備する。
- 司法書士に名義変更を依頼する場合は見積もりを依頼し、委任状を準備する。
- 法務局に必要な書類を提出することで、登記申請が完了する。
- 通常1週間程で所有権移転登記が完了し、登記識別情報通知(権利証)が発行される。
相続による不動産の名義変更に必要な書類
- 亡くなった方の書類
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- 戸籍謄本
- 住民票の除票
- 相続人全員
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- 印鑑証明書
- 戸籍謄本と住民票
- その他
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- 固定資産評価証明書
- 遺産分割協議書
- 登記事項証明書
- 司法書士に依頼する場合は本人確認資料(運転免許証のコピー等)
相続による不動産の名義変更の期限
法律上、いつまでに相続による登記をしなければならないという決まりはありません。登記を済ませておかないと売却などの手続きはできません。また、10年単位で期間を空けてしまうと相続人全員の印鑑証明書を集めることが大変になることも考えられるのでできるだけ早く登記しておきましょう。
贈与による不動産の名義変更に必要な手順
贈与による不動産の名義変更に必要な手順は以下の通りです。
- 登記事項証明書で所有者の確認と、住民票で受贈者の確認をする。
- 司法書士に名義変更を依頼する場合は見積もりを依頼し、委任状を準備する。
- 法務局に必要な書類を提出することで、登記申請が完了する。
- 通常1週間程で所有権移転登記が完了し、登記識別情報通知(権利証)が発行される。
贈与による不動産の名義変更に必要な書類
- 贈与者
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- 登記識別情報通知(権利証)
- 印鑑証明書
- 受贈者
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- 住民票
- その他
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- 登記原因証明情報(贈与契約書
- 固定資産評価証明書
- 登記事項証明書
- 司法書士に依頼する場合は本人確認資料(運転免許証のコピー等)
贈与による不動産の名義現行の期限
法律上、いつまでに贈与による登記をしなければならないという決まりはありません。土地の贈与の場合には、登記を済ませておかなければ住宅ローンを組んで家を新築することができません。
不動産の名義変更にかかる費用と税金
不動産の名義変更には費用と税金がかかります。
売買による不動産の名義変更にかかる費用
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登録免許税(固定資産税評価額の1000分の20)
ただし、土地は平成29年3月31日まで固定資産税評価額の1000分の15。
建物は一定の条件を満たすことで1000分の3への軽減税率の適用有り。 - 登記事項証明書代(1通600円)
- 住民票・印鑑証明書の取得費用
- 司法書士報酬、交通費
売買による不動産の名義変更にかかる税金
売買による所有権移転を行った場合、売主は利益に対して譲渡所得がかかります。
譲渡所得=売買価格-(その不動産の取得時の費用+売却費用)
課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除
課税譲渡所得×税率
税率は、売却した年の1月1日時点で
- 所有期間が5年超(長期)の場合には315%
- 所有期間が5年以下(短期)の場合には63%
となっています。
また、「所有期間が10年超の居住用財産を売却した場合の税率の特例」や「特定の居住用財産を売却した場合の買い換えの特例」「マイホームを買い換えた場合の損益通算及び繰越控除の特例」などいくつかの税制の特例があります。
相続による不動産の名義変更にかかる費用
- 登録免許税(固定資産税評価額の1000分の4)
- 登記事項証明書代(1通600円)
- 住民票・印鑑証明書の取得費用
- 司法書士報酬、交通費
相続による不動産の名義変更にかかる税金
相続による所有権移転をした場合、遺産総額に対して相続税がかかります。
簡易的な計算の手順は以下の通りです。
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遺産総額を計算する
遺産総額は、亡くなった方から相続した全ての財産を金銭で評価した合計金額です。死亡日から過去3年以内に贈与された財産も含めます。 -
遺産総額から非課税財産や債務などを差し引きます
遺産総額から、生命保険や退職金の非課税枠など、非課税財産と、借金がある場合にはその額、葬儀費用などを差し引きます。 -
基礎控除額を控除します。
基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人の数を差し引きます。 -
法定相続分に割り振る
子がいる場合→配偶者1/2、子1/2を人数で按分
子がいなくて父母がいる場合→配偶者2/3、父母1/3を人数で按分
子も父母もいなくて兄弟がいる場合→配偶者3/4、兄弟1/4を人数で按分
子も父母も兄弟もいない場合→配偶者100% -
課税遺産額毎に定められた税率と控除額で相続税が計算できます。
各相続人の課税遺産額(~5000万円以下まで)
1,000万円以下 税率10% 控除額 なし
1000万円超~3000万円以下 税率15% 控除額 50万円
3000万円超~5000万円以下 税率20% 控除額 200万円
この他、配偶者や未成年には税額軽減があります。
贈与による不動産の名義変更にかかる費用
- 登録免許税(固定資産税評価額の1000分の4)
- 登記事項証明書代(1通600円)
- 住民票・印鑑証明書の取得費用
- 司法書士報酬、交通費
贈与による不動産の名義変更にかかる税金
贈与による不動産の所有権移転を行った場合受贈者には贈与税がかかります。贈与税は相続税に比べてシンプルです。
- その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた財産の合計金額を算出する。
- 上記の合計金額から基礎控除額(110万円)を差し引く。
-
贈与額毎に定められた税率と控除額で贈与税が計算できます。
控除後の課税価格(1000万円まで)
200万円以下 税率10% 控除額 なし
200万円超~300万円以下 税率15% 控除額10万円
300万円超~400万円以下 税率20% 控除額25万円
400万円超~600万円以下 税率30% 控除額65万円
600万円超~1000万円以下 税率40% 控除額125万円
上記の他、20歳以上の推定相続人である子や孫に対して、60歳以上の父母または祖父母から贈与する場合には、2500万円までを非課税とする相続時精算課税制度を選択することもできます。
まとめ
不動産の名義変更では大きな金額が動くため、間違いなく登記をすることと、名義変更後にどのような費用と税金がかかるかを把握しておくことが大切です。