「諸費用」も住宅ローンで融資してもらえるの?
相談者:諸費用が多額になると知って頭を悩ます30代主婦 村上葉月さん(相模原市)
ローンで住宅を購入すると、家の代金だけでなく諸費用もかなり必要になることを知りました。頭金と別に用意しようと思うと大変です。諸費用も住宅ローンで一緒に融資してもらえるんでしょうか?
回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを
住宅を購入する上で諸費用は大切なポイントです。諸費用はローンの設定に伴う保証料、事務手数料、団体信用生命保険料、印紙税などですが、一般的な例で物件価格の3~5%程度、不動産会社への仲介料が発生する場合は6~8%に達してきます。さらに引っ越し費用や家具、電化製品、インテリアなどの購入費用を含めると、もっと膨らんでくることになります。ただ、団体信用生命保険料などは金利にあらかじめ上乗せしてあるので、必ずしも諸費用すべてを用意する必要はありません。
ご質問の件ですが、昔は諸費用まで住宅ローンで融資してもらえることはまずありませんでした。ところが、最近は各金融機関が住宅ローンに力を入れ、貸し出し競争の様相を呈しています。このため、金融機関ごとに対応は異なりますが、サービス強化の一環として諸費用も融資するのが一般的になってきています。
「諸費用ローン」という言葉を聞いたことがあります。
諸費用の融資にあたっては、2つのタイプがあります。ひとつは、通常の住宅ローンで諸費用も含めて融資するもの、もうひとつは、自社の住宅ローン利用者専用に別途「諸費用ローン」を設定して融資するものです。
通常の住宅ローンで対応する金融機関としては、メガバンクではみずほ銀行、地銀では千葉銀行、ネット銀行では住信SBIネット銀行などがあります。このタイプも資金使途の範囲でさらに2種類の対応に分かれます。ひとつは物件の購入・ローンの設定にかかわる諸費用だけに限定している金融機関と、もうひとつは、みずほ銀行や千葉銀行などのように引っ越し費用や新居のための家具・設備類の購入費用まで含めて融資してくれる金融機関です。
また、自社の住宅ローン利用者に「諸費用ローン」を別途設定して融資してくれる金融機関としては、三菱東京UFJ銀行(住宅諸費用ローン)、三井住友銀行(三井住友住宅ローン:諸費用・リフォーム口)、りそな銀行(りそな諸費用ローン)などがあります。こちらのタイプも資金使途を物件の購入・ローンの設定にかかわるものだけに限定している金融機関と、りそな銀行のように新居のための家具・電化製品などの購入にまで対象を広げている金融機関とに分かれます。
2つのタイプとも融資条件は金融機関ごとに異なりますが、融資金額については諸費用だけで上限500万円、物件価格と合わせて上限1億円としているところが一般的です。
また、貸し出し競争激化に伴い、ネット銀行などの中には諸費用無料キャンペーンを行っているところもあります。適用金利と合わせて総合的に有利と判断できる金融機関を選んでください。
「フラット35」の場合はどうですか?
「フラット35」は、融資対象が建築費あるいは購入資金の9割までと決められていますので、諸費用の融資は受けられません。ただ、提携金融機関によっては自社を利用することを条件に諸費用を融資してくれるところもありますので、金融機関を選ぶ際に問い合わせてみるといいでしょう。
「フラット35」はともかく、諸費用もローンで賄えることがわかって一安心。マイホームに近づいた感じがします。
ただ、諸費用までローンにすると全体の借入額が膨らみ、月々の返済負担が増すばかりでなく、完済までの支払い利息が大きく増加してしまいます。ライフプランなどと照らし合わせ、返済負担が重いと感じるようであれば、諸費用を現金で支払えるまで待った方が安心ですよ。