「リノベーション」って、なに? メリットは? 費用は?
相談者:中古マンションの購入を検討している20代会社員 岩見彩加さん(仮名、稲城市)
中古マンションの購入を検討しています。最近、中古マンションに関して「リノベーション」と言う言葉をよく耳にしますが、リフォームとはどう違うのですか?
回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを
「リノベーション」、中古住宅業界ではちょっとした流行語かもしれませんね。住まいのリニューアルについては従来、リフォームが一般的に使われていました。リフォームは、老朽化した住まいを部分的に新しくして、建築当初の姿や性能を取り戻そうとするものです。
これに対して「リノベーション」というのは、内装や設備の大規模な更新はもちろん、基本的な間取りの変更も行い、ライフスタイルの変化や技術の進歩に合わせた使い勝手の向上を図ろうとするものです。使い勝手や機能を向上させて住まいを一新、建築当初にはなかった新しい価値をつくりだすものと言ってもいいかもしれません。
リフォームとはちょっと次元が違うわけですね。では、リノベーションのメリットはどういう点になりますか?
基本的なメリットは3点あります。ひとつは、新築と同じような設備と機能が備わった住まいを、新築に比べてかなり安く手に入れられること。2つ目は、築年数の経過した中古マンションは新築よりも駅近などの物件が多く、好立地に住むことができる点です。
3つ目のメリットは、業者がリノベーションを施して発売する物件を買うのではなく、自分で中古マンションを買ってリノベーションを行う場合にあてはまることですが、自分の好みに合った自分仕様の部屋づくりが自由にできることです。壁紙や床材、キッチン設備などの選択から間取りの設計まで、オーダーメイド感覚でできるので、住まいにこだわりを持つ人には嬉しいプランとなります。
自分でリノベーションを行う場合、費用はどのくらいかかりますか?
どの範囲まで手を加えるかで差が出てきますが、一般的には大手業者で1平方メートル当たり10万5000円程度が相場のようです。どのくらい費用がかかるか心配な人のために、定額サービスを行っている大手業者もあります。たとえば、三井不動産リフォームの「わが家一新」では、70平方メートルで795万円から請け負っています。
たとえば、築年数30年、専有面積70平方メートル程度の中古マンションを2500万円で買って、リノベーションに1000万円をかけても総費用3500万円。同じ場所で同じ面積の新築マンションを買うのに比べて1500万円程度は安くなると想定されます。
また、不動産業者が売り物件を買い取ってリノベーションを施してから発売する中古マンションの場合、築30年程度の物件なら新築価格の5~7割程度のようです。
中古マンションを買ってリノベーションする場合、住宅ローンの扱いはどうなりますか?また、リノベーション費用も住宅ローン減税の対象になりますか?
まず、ローンについてですが、物件価格とリフォーム(リノベーション)費用を合わせて通常の住宅ローンに一本化する動きが広まってきており、対応する金融機関も増えてきています。住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する「フラット35」でも、「物件価格+リフォーム費用」をセットで融資する「リフォームパック」を始めています。また、物件価格の10割を上限に、「物件価格+リフォーム費用」の合計額の9割まで融資が受けられる「中古住宅特例融資」制度も設けています。
住宅ローン減税については、リフォーム(リノベーション)費用も適用対象となります。
政策的なバックアップもあるわけですね。最後に、リノベーションを行ううえで注意すべき点は何かありますか?
中古マンションを買うことになるので、耐震性に問題がないかどうか、注意する必要があります。建築基準法の改正で1981年6月から新耐震基準が導入されているので、築年(正確には建築確認申請)がそれ以前のマンションであれば旧耐震基準によって建てられていることになります。新基準と旧基準の大きな違いですが、旧基準では「震度5程度の地震に耐えうる住宅」となっていたのに対し、新基準では「震度6強以上の地震で倒れない住宅」に変わりました。旧基準で建てられたマンションについては、耐震診断や耐震補強がなされているかどうかを確認する必要があるでしょう。