タワーマンションは資産価値が落ちないって、ホント?
相談者: 買い換えを前提にタワーマンションの購入を考える30代会社員 杉山泰平さん(仮名、東京・葛飾区)
将来の買い換えを前提に新築マンションの購入を考えています。タワーマンションなら資産価値が落ちにくいと聞きますが、本当ですか?
回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを
タワーマンションは20階以上、高さで60メートル以上の超高層マンションに付けられた呼び名です。東日本大震災直後は一時的に敬遠されましたが、ウォーターフロントと呼ばれる東京湾岸エリアで相次いで売り出されたタワーマンションは人気を集め、好調な売れ行きを見せました。眺望がいい、日あたりがいい、都心へのアクセスがいい、などが人気の要因となっています。
「タワーマンションは資産価値が落ちにくい」というのは、正しいのか、間違っているのか。その答えを見つけるのに、最初に資産価値が落ちにくいマンションとはどういうマンションなのかを考えてみたいと思います。
まず、マンションの戸建てとは違う一般的な特性として、暮らしやすい環境や使用価値というよりも立地が最優先される傾向にあります。マンションにとっての立地の良さを決定づけるのは交通アクセスをはじめとした利便性で、具体的には都心もしくは都心の近くということになります。都心もしくは都心に近い立地のマンションは人気が高く、中古マンションの買い手も多いので、中古になっても資産価値が落ちにくいということになります。
もう一点、規模の面もあります。小規模のマンションより総戸数で200戸以上の大規模マンションの方が人気が高く、やはり中古になっても買い手が多くいるので、資産価値が下がりにくいと言えます。大規模マンションに人気がある理由としては、主に戸数が多いのでゲストルームやラウンジなど共用施設が充実していることが挙げられます。
以上をまとめると、資産価値が落ちにくいマンションは、立地がよく、かつ大規模なマンションであると言えます。もちろん、タワーマンションにも当てはまることで、すべてのタワーマンションが資産価値が落ちにくいのではなく、都心もしくは都心に近い立地のタワーマンションなら資産価値が落ちにくいという結論になります。ただ、タワーマンションの多くは立地がよく、当然ながら規模も大きいので、総じて資産価値は落ちにくいと言えます。
買い替えるまでは住むことになりますが、暮らすという使用価値の面ではタワーマンションって、どうなんでしょうか?地震や火災が起きたときを考えると少し不安になります。
そうですね。デメリットもしっかり把握しておく必要があります。
まず、地震についてですが、タワーマンションは制震・免震装置で揺れを吸収するしなやかな構造となっています。このしなやかさが上層階では大きな揺れをもたらします。場合によっては強風で揺れることもあるようです。
この他、よく指摘されるデメリットとしては次の点が挙げられます。
- 内廊下方式で、角部屋以外は窓が一方向にしかなく、風通しが良くない
- 建物を軽い素材でつくることで遮音性が低下
- 火災のとき高層階からエレベーターで降りられるかどうか
- 形状、階層によっては風が強く、バルコニーに洗濯物が干せない
- 通勤時間帯のエレベーターが込み合う
- 充実した共用施設も逆に管理コストがかかる
なるほど。いいことばかりじゃないですね。最後に、特に資産価値が下がりにくいタワーマンションってありますか?
新築時に人気を集めるマンションほど資産価値は下がりにくくなっています。新築時の人気バロメーターとして抽選倍率が挙げられます。多くの人が買いたいと思うから抽選倍率は高くなるわけで、高抽選倍率のマンションはある程度中古になっても人気があります。
また、都心に近いなど好立地と言われるエリアの中で、高さが一番高いマンション、総戸数が一番多いマンションなどランドマークになるタワーマンションは人気が高く、中古になっても資産価値が落ちにくくなっています。価格面との相談にもなりますが、このあたりを参考に検討してみてください。