不動産のチラシで失敗しないためには?
相談者:新聞のチラシで物件情報を集めている30代会社員 江尻真琴さん(仮名、川崎市)
物件の情報収集として、新聞に折り込まれている広告やチラシを見るようにしています。チラシで失敗しないための注意点を教えてください。
回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを
広告やチラシは物件を売るためにつくられています。不動産業者や販売業者は何とか消費者の目を引き、消費者に買いたい気持ちを起こさせるコピーや図案を考えます。もちろん、誇大広告防止法や公正競争規約など不動産広告に対する規制はあり、「日本一」「業界一」「完全」「最高級」「格安」「当社だけ」などの言葉を使うのはNGとなっています。その規制に抵触しない範囲内で、売ろうとしている物件に化粧をして、買わせようとするわけです。
ですから、チラシで失敗しないための第一のポイントは、「キャッチのための甘い言葉、誘い言葉は軽く受け流せ」です。たとえば、価格面で「毎月の返済は7万円でOK」と書いてあれば、これくらいの返済負担なら家賃と変わらず大丈夫と思いがちです。ところが、月々の返済額というのは、ボーナス時の併用払いや借入期間の長期化、金利の低い変動金利の適用などで、いくらでも少なくすることができます。重要なのは、物件価格と自分が用意できる頭金、それにライフプランに即したローンの返済計画です。
チラシで失敗しないための第二のポイントは、「気になった物件は必ず現地チェックせよ」です。たとえば、必須情報である最寄り駅からの時間。「駅から徒歩5分」と書かれていても、これは駅の改札口(地下鉄なら最寄りの地上出口)から80メートルを1分かかるとして計算したもので、信号の待ち時間や坂道などは考慮していません。実際に現地に行って、物件から駅のホームまでどれだけ時間がかかるのか確かめる必要があります。同時に、物件の周囲の環境、駅までの道路沿いや駅前の環境もチェックする必要があります。さらに、現地チェックも1回だけでなく、昼間、夜間、平日、休日とシチュエーションごとに行ってみるのがベストです。
チラシで失敗しないための第三のポイントは、「物件概要をチェックせよ」です。「物件概要」はチラシの隅の方に小さな文字で書かれていますが、所在地から用途地域、交通、構造、施工会社、分譲会社などに至るまで、物件にかかわる基本的な情報が修飾されない生の情報として記載されています。中古なら築年月が記載されているので、新耐震基準が導入された1981年6月以降のものかどうかチェックします。新築のマンションだと「完成(竣工)予定時期」と「入居予定時期」が記載されています。この2つの期間は通常なら1カ月以上かかるので、仮に1カ月未満であれば急仕上げの可能性があるので要注意です。
わかりました。あと、チラシに載せてある間取り図を見る上で注意すべき点、何かありますか?
そうですね。実際に生活するには家具を置きます。必要な家具を必要な場所に置くことができるかどうか、チェックした方がいいですね。まず、内開きの戸の裏側には家具を置けないので、戸の開く向きは要チェックです。また、梁や下がり天井の下には高い家具を置けないので、間取り図で「梁型・下がり天井」を表す点線(- – -)の位置も確認した方がいいでしょう。