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マイホーム、何年住めば元が取れるの?

マイホーム、何年住めば元が取れるの?

相談者: 住宅購入を投資と考える20代会社員 大森康之さん(仮名、相模原市)

マイホームの購入もひとつの投資ではないかと思っています。投資と考えたとき、採算面はどのように計算したらいいのでしょうか?

回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを

住宅を買う理由は人様々で、大きな耐久消費財のような感じで買う人もいれば、子や孫に資産として残すために買う人もいるでしょう。ただ、仮にずっと住み続ける場合でも、住宅購入は大きな意味で「投資」となります。なぜなら、リスクとリターンがあるからです。

では、投資と考えたときの採算をどう計算するかですが、住宅の場合も一般的な金融商品と同じく「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「投資利回り」という3つが基本的な考え方になります。

「インカムゲイン」は、資産を保有することによって、その資産から得られる収益です。住宅の場合のインカムゲインは家賃収入から維持費を差し引いたものになります。マイホームの家賃をどう考えるかですが、政府の経済統計では「帰属家賃」という考え方を取り入れています。帰属家賃は、実際にお金が動くわけではありませんが、持ち家の所有者が所有者自身に家賃を払っていると想定した家賃です。インカムゲインの計算では、同じ地域の同じレベルの住まいの賃貸相場を参考にします。一方、維持費は固定資産税、都市計画税、管理費・修繕積立金です。

インカムゲイン=
家賃収入(帰属家賃)-維持費(税金、管理費、修繕積立金)

「キャピタルゲイン」は資産の購入価格と売却価格の差によって得られる収益で、仮に損失が生じるときはキャピタルロスとなります。住宅のキャピタルゲインは売却価格から購入価格および購入時の経費、売却時の経費を差し引きます。購入時の経費は仲介手数料(購入価格の3%、新築分譲では不用)と諸経費、売却時の経費は仲介手数料(売却価格の3%)となります。

キャピタルゲイン=
売却価格-(購入価格+購入・売却経費)

最後の「投資利回り」は、資産から得られる収益が投資額に対して何%(年率)になるかを計算したものです。住宅の場合、上記でみた「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」を合計したものから、購入価格と借入金の金利を合わせたものを差し引きます。

投資利回り=
投資収益(インカムゲイン+キャピタルゲイン)-投資額(購入価格+借入金の金利)

実際のケースでみないとわかりにくいので、私が購入を考えている3000万円程度の新築分譲マンションの例で教えてください。頭金はなし、借入期間35年を考えています。

わかりました。では、3000万円の新築マンションを全額、返済期間35年の銀行借り入れでまかなった想定で試算してみましょう。金利は2%の固定金利、売却はローンを完済の35年後、売却価格は2000万円とします。

まず、インカムゲインですが、家賃(帰属家賃)は最初の10年間を月12万円、次の10年間を11万円、最後の15年間を10万円と想定。一方の維持費は税金(固定資産税、都市計画税)を1万円、管理費・修繕積立金を1万5000円、合計2万5000円として計算します。最初の10年間のインカムゲインは、12万円×12カ月×10年間-(1万円+1万5000円)×12カ月×10年間=1140万円となります。同じように計算して35年間の総インカムゲインを求めると3510万円になります。

次にキャピタルゲインですが、購入時の経費は諸経費で120万円、売却時の経費は仲介手数料の60万円(2000万円×3%)として計算すると、売却価格2000万円-購入価格3000万円-経費180万円=-1180万円で、キャピタルロスとなります。

投資収益はインカムゲイン3510万円からキャピタルロス1180万円を引いた2330万円になります。期間35年なので年間収益は2330万円÷35年=66.6万円。投資額は購入価格に支払い金利を加えますが、完済までの支払い金利は金利2%、返済期間35年で1174万円になるので、3000万円+1174万円=4174万円。投資利回りは年間収益を投資額で割るので、66.6万円÷4174万円=1.60%となります。現在の低金利状況では、それほど悪い利回りではないでしょう。

投資利回りについては売却価格が大きなポイントになるので、購入時にできるだけ資産価値が落ちないような物件選びが大切になってきます。

なるほど、参考になりました。もうひとつ、何年住めば元が取れる計算になるのでしょうか?

何年住めば元が取れるのかというのは、何年で投資額を回収できるかということになるので、次の計算式になります。

投資回収に必要な年数=(購入価格+購入時の経費+金利)÷年間のインカムゲイン

先ほどのケースでは、(3000万円+120万円+1174万円)÷(3510万円÷35年)=42.8年となり、42年10カ月住めば元が取れる計算です。ただ、返済期間を20年に短くすると金利負担が643万円に低下するので、(3000万円+120万円+643万円)÷(2160万円÷20年)=34.8年と、投資回収期間は大幅に短縮することになります。

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