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家賃よりローンの方が安いって、ホント?

家賃よりローンの方が安いって、ホント?

相談者:友人の失敗談で不動産広告が気になり始めた30代会社員 浅野正輝さん(仮名、横浜市)

友人が「家賃よりローン返済の方が安上がり」と家を買ってから1年、以前より生活が苦しくなったと言っています。不動産の広告に「家賃並みの返済」とか「家賃以下の支払い」といったコピーを見かけることがありますが、これって本当ですか?

回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを

現在、「フラット35」の長期固定金利が2%を下回っているように、歴史的な超低金利状態にあります。金利が高かったころに比べると、金利負担が少なくて済む分、相対的に住宅ローンの支払いは低く抑えられることになります。ただ、「家賃並みの返済」「家賃以下の支払い」というのは、あくまでも条件次第です。現在借りている家の家賃、購入する家の価格はもちろん、ローンの返済条件で大きく変わってきます。

不動産広告の話から始めましょう。不動産屋さんは地域の家賃を考慮して広告をつくります。たとえば、同じ程度の広さ、間取りの家の家賃が7万円程度あれば、「毎月の返済額6万円台、家賃以下で買えます!」というキャッチコピーにするわけです。この「毎月の返済額6万円台」はウソでも出まかせでもなく、本当です。返済条件を変えることで毎月の返済額も変えることができ、極端に言えば、いくらでも家賃以下に設定することができるのです。

毎月のローン返済額は同じ物件価格であれば、頭金金利返済期間、ボーナス併用割合で決まります。下の表は、3000万円の物件を購入した場合、これらの返済条件を変えることで毎月の支払額がどう少なくなっていくかを見たものです。

条件を変えれば毎月のローン返済額は少なくなる
(物件価格3000万円の場合)
頭金 金利 返済期間 ボーナス返済割合 返済額
毎月返済額 ボーナス時加算額
100万円 1.5%(5年固定) 30年 20% 8.1万円 12.1万円
100万円 1.5%(5年固定) 35年 20% 7.2万円 10.7万円
100万円 0.88%(変動) 30年 20% 7.4万円 11.1万円
100万円 0.88%(変動) 35年 20% 6.5万円 9.7万円
100万円 1.5%(5年固定) 30年 35% 6.6万円 21.1万円
300万円 1.85%(フラット35) 30年 0% 9.8万円 0
ケース①は、頭金100万円(借入2900万円)、金利は5年固定の1.5%、返済期間30年、ボーナス返済割合20%の条件で、毎月の返済額は8.1万円です。これを地域の家賃に合わせて7万円台にしようと思えば、②のように返済期間を35年に長くするか、③のように金利を変動金利にすればいいわけです。6万円台までさらに引き下げたいときは、④のように変動金利で35年にするか、⑤のように①の条件のままでボーナス返済割合を35%に高めれば6万円台になります。

ただ、変動金利や3~5年の固定金利では将来の金利上昇リスクがあります。返済期間も35歳の人が35年にすれば、定年を過ぎた70歳までローン返済に追われることになります。ボーナス返済割合もあまり高くすると万一ボーナスカットがあったりすると苦しくなります。不動産広告を鵜呑みにせず、自分のライフプランに合わせた、できるだけリスクの低い返済条件でシミュレーションしてみることが大切です。たとえば、下の表の⑥は、頭金300万円(借入額2700万円)、ボーナス併用なし、フラット35の30年長期固定で借り入れた場合で、毎月の返済額は9.8万円まで膨らみます。

条件を変えれば、これだけ返済額が違ってくるんですね。何か、数字のマジックを見ているようです。

注意しなければいけないことが、もう一点あります。マイホームを購入すると、ローンの返済以外にも住居関連費用がかかることです。固定資産税に都市計画税、マンションなら管理費、修繕積立金も必要になります。

3000万円のマンションを上の表の②の条件で買って毎月返済額が7.2万円であっても、仮に固定資産税・都市計画税が月5000円、管理費・修繕積立金が月1万5000円なら毎月の住居関連費用は9.2万円(7.2万円+2万円)、ボーナス加算分も考慮すると毎月11万円にまで膨らんでくることになります。車があれば、駐車場代もかかってきますね。

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