不動産の売買契約で注意すべき点を教えてください
相談者:家の購入を決め、近く売買契約に臨む予定の30代会社員 横尾隼人さん(仮名、横浜市)
建売を仲介で買うことにしました。大きな買い物なので失敗したくありません。売買契約を行うに際しての注意するポイントを教えてください。
回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを
契約の流れですが、宅地建物取引業法では、契約を行う前に不動産仲介業者に対して「重要事項の説明」を義務づけています。重要事項とは、物件の内容や取引条件など契約をするための重要な情報で、宅地建物取引主任者が文書を示して説明することになっています。
まずは、この「重要事項の説明」をじっくり読んで、納得する必要があります。重要事項の説明は申し込み日や契約日に合わせて行われることが多いですが、文書自体は数日前には出来あがっています。事前にファックスなどで送ってもらい、あらかじめよく読んで不明な点をチェックしておいて、説明時にきちんと説明を求めることが大切です。
「重要事項の説明」ですが、主にどういうことについて書かれていて、どういう点に注意したらいいのでしょうか?
重要事項の内容は、「対象物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」に分かれています。「対象物件に関する事項」では、登記上の権利関係、建築基準法などによる制限関係、ガス・水道などの整備状況などが書かれています。最も注意したいのは権利関係で、添付されている登記簿謄本は最新のものか、所有者と売主は同じか、第三者に仮登記されていないか、抵当権は設定されていないか、などが重要チェック項目となります。
また「取引条件に関する事項」では、購入代金、・手付金・残金などの支払い条件、契約解除や瑕疵担保責任の履行などに関することが書かれています。特に注意したいのは契約解除に関するもので、ローンが認められなかったときに解約できる「ローン特約」、買い替えで予定通り売れなかったときに解約できる「買い替え特約」がついているかどうか。ローン特約については、金融機関名、融資額、特約期限が明記されているかもチェックする必要があります。
以上のような「重要事項の説明」に何の問題もなく、納得できたら売買契約に進みます。売買契約書の内容は「重要事項の説明」と重なる部分もありますが、必要事項としては対象不動産の表示で、契約年月日、売買代金、手付金、取引期日、土地の所在・地番・地目・地積、建物の所在・種類・構造・床面積が記載されます。
これに、その他の契約事項として危険負担、費用負担、公租公課等の負担、付属物の引き渡しなど、特約事項としてローン特約などについて記載されます。危険負担というのは、売買契約から物件の引き渡しまでに火災や地震などで建物が被害を受けた場合、責任をどちらが取るかを決めておくものです。通常は売主が負担することが売買契約書に書かれます。
売買契約書も「重要事項の説明」と同様、事前にコピーを入手して確認しておくようにします。また、リスクを感じることがあれば、契約書に明記しておくと安心です。なお、契約締結時に手付金を支払う必要がありますが、金額は物件価格の5~10%が一般的です。
契約締結後に解約した場合、手付金はどうなりますか?
契約成立後の解約ですが、買い主の自己都合による場合、手付金は放棄となり、手数料も払う必要があります。やむを得ない事情がある場合は手付金、手数料とも返還されます。「重要事項の説明」のところで触れた「ローン特約」「買い替え特約」はやむを得ない事情となります。