家みつ

「スマートハウス」と「省エネ住宅」は違うの?

「スマートハウス」と「省エネ住宅」は違うの?

相談者:スマートハウスに関心のある20代会社員 石塚俊夫さん(仮名、日野市)

最近いろいろなところで「スマートハウス」という言葉を見かけますが、書いてある内容に違いがあり、今ひとつよくわかりません。スマートハウスとは何か、わかりやすく教えてください。

回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを

「スマートハウス」を省エネ住宅エコ住宅などと混同している記述も見受けられますが、これは間違いです。省エネ住宅は基本的に建物自体を高気密・高断熱にしたもので、これに太陽光発電などを組み合わせるとエコ住宅とかゼロエネルギー住宅と呼ばれるものになります。

スマートハウスは省エネが目的になっていますが、単なる省エネ住宅とは違い、名称のとおり、スマートに(賢く)省エネを図ろうとするものです。具体的には、HEMS(Home Energy Management System)と呼ばれるエネルギー管理システムを核に、IT技術を活用して家庭内のエネルギー消費を最適化しようとするものです。

住宅メーカーによってスマートハウスの構成は多少異なりますが、心臓部にあたるHEMSだけは必須のシステムです。HEMSは家庭内の消費電力を部屋ごと、時間ごと、機器ごとに細かく管理し、電力が使われている状態をモニターにリアルタイムで「見える化」します。この「見える化」によって電力消費のムダがすぐにわかり、無理なくスマートに節電・省エネが行えるものです。「見える化」は専用のモニターだけでなく、パソコンや携帯電話でも見ることができます。

なるほど。では、HEMSを設置するだけでは節電にならないんですね?

そうです。HEMS自体はあくまで「見える化」するだけです。ただ、見える化によって住まい全体の電力消費のムダをチェックしやすくなるので、結果として節電できるというわけです。家族構成や環境条件によって異なりますが、一般的にはHEMS導入で10~20%程度の消費電力を削減できると言われています。

ただ、HEMSの機能も進化を遂げつつあります。これまで述べてきたHEMSの機能は、各電力使用機器のネットワーク化と計測結果の「見える化」にとどまっていたわけですが、すでに機能を大きく高めた第2ステップへの取り組みが始まっています。

第2ステップのひとつは、太陽光発電、燃料電池、蓄電池など創エネ・蓄エネ設備を設置している場合、それらとも連携し、電力の消・創・蓄を一体的に管理するものです。もうひとつは、家電製品などの機器・設備を自動制御する機能で、これによって家庭のエネルギー利用の最適化を実現しようとしています。

HEMSの価格はどの程度ですか?また、導入にあたって補助制度はありますか?

メーカーや設置する住まいの広さ、ネットワーク化する機器の数などで異なりますが、「見える化」機能のHEMSで数万~20万円程度(工事費は別)です。国が認定機器に対し一律10万円の補助制度を設けています。

新築住宅ではスマートハウス化の流れは始まっているのでしょうか?

東日本大震災以降、省エネ・防災意識の高まりからスマートハウスが注目されてきており、大手住宅メーカーでも戸建て中心に取り組みを強化しています。中身を見ると、HEMSに加え、太陽光発電システム、蓄電池を搭載したタイプのものが多くなっています。太陽光発電と蓄電池を備えることで、万一の非常時にも対応できるようになっています。

また、マンションでは、マンション全体のエネルギー利用をスマート化する取り組みが始まっています。

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