「耐震」「制震」「免震」、どう違うの?
相談者:地震に強い住まいを探したい30代主婦 東野朋子さん(仮名、川崎市)
マンションの広告を見ると、「制震構造」あるいは「免震構造」という言葉が出てきます。耐震とどう違うのか、それぞれのメリット、デメリットも教えてください。
回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを
マンションでも一戸建てでも同じですが、地震による建物への被害を防ぐ工法として、「耐震構造」「制震構造」「免震構造」の3種類があります。基本になるのは耐震構造で、制震構造、免震構造は耐震構造にそれぞれ制震装置、免震装置をつけて地震の揺れをできるだけ抑えようとするものです。
まず、「耐震構造」ですが、これは壁や柱、梁など構造の強度を高め、建物自体で地震の揺れによる倒壊を防ごうとするものです。構造の強度については、建築基準法の耐震基準で定められています。1981年に導入された新耐震基準では、数百年に一度程度発生する地震(震度6強~7)にも耐えられるよう、基準が見直されました。1981年6月以降に新築された住宅は、この新耐震基準をクリアする耐震構造になっています。
ただ、耐震構造には欠点があることも明らかになってきました。それは、建物自体の倒壊は防げても、地震の揺れは大きく伝わることから、建物内部では家具の転倒や人的被害が発生するということです。さらに、激しい揺れの繰り返しには弱いという欠点もわかっています。
そこで、地震の揺れ自体を抑えたり、吸収することで、内部被害の発生も防ごうというのが制震構造と免震構造です。制震構造は、建物の内部にダンパーと呼ばれる制震装置を組み込み、地震の揺れを低減します。また免震構造は、基礎(地盤)と建物の間に地震の揺れを吸収する免震部材を取り付け、地震の揺れが建物本体に直接伝わりにくくしています。ともに繰り返しの揺れにも強い構造です。
普通の耐震構造に比べ、制震構造、免震構造はどのくらい地震の揺れが少なくなるのでしょうか。また、デメリットも何かありますか?
地震の大きさなどによっても異なりますが、一般的には耐震構造に比べ、制震構造で20~30%、免震構造で40~60%、揺れが少なくなると言われています。
デメリットとしては、建設コストが高くなる点があげられます。地盤の状態や建物の大きさなどによって異なりますが、一般的には耐震構造だけのものに比べ、制震構造で7~10%、免震構造で10~13%程度高くなると言われています。
耐震性能を判断する指標として「耐震等級」というのがありますが、これと耐震構造、制震構造、免震構造はどう関係してくるのでしょうか?
いい質問ですね。「耐震等級」は、住宅性能表示制度に基づいて、第三者機関が住まいの耐震性能を客観的にランク付けするものです。等級は1から最上位の3まであります。
等級1は建築基準法の定める耐震基準に相当するレベルで、1981年以降に新築された住宅は新耐震基準に基づく耐震構造となっているので、すべて等級1以上となります。等級2は等級1で耐えられる地震の力の1.25倍の力に対しても倒壊しないレベル、等級3は等級1で耐えられる地震の力の1.5倍の力に対しても倒壊しないレベルです。一般的には、制震構造の建物は等級2に、免震構造の建物は等級3に評価されるようです。