家みつ

中古購入に必須の「登記簿チェック」

中古購入に必須の「登記簿チェック」

相談者: 中古住宅の購入を検討している20代会社員 野津俊夫さん(仮名、東京・中野区)

中古住宅の購入を検討していますが、新築と違って所有権抵当権といった権利関係に問題がないか心配です。チェックするにはどうしたらいいですか?

回答者:ファイナンシャルプランナー 家塚みつを

中古住宅を購入するにあたっては、住宅性能など品質面とは別に、ご質問にあるように権利関係に問題がないかどうかチェックすることも極めて大切です。「中古を買うなら登記簿をチェックせよ!」です。

不動産の登記簿は、土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを公の帳簿に記載したものです。土地については1区画(1筆)ごとに、建物については1棟ごとに作成されますが、現在の状況だけでなく、過去にさかのぼって所有者や権利関係の履歴を知ることができるので、いわば物件の履歴書と言えるものです。物件の履歴を洗うことで、権利関係などに問題がないかどうかをチェックできます。

登記簿は自分以外の人に権利内容を知ってもらうためのものなので、誰でも閲覧でき、誰でも登記簿謄本の交付を受けられます。最近の登記簿は紙ベースから電子媒体に保存されるようになってきており、電子媒体からプリントアウトされたものは「登記事項証明書」と呼ばれています。情報内容は登記簿謄本も登記事項証明書も変わりませんが、登記事項証明書の方が横書きで読みやすくなっています。

その「物件の履歴書」ですが、どういう内容が記載されていて、どういう点に注目すればいいのでしょうか?

記載事項は下に添付した「登記事項証明書」のとおり、表題部と権利部があり、権利部はさらに甲区と乙区とに分かれます。表題部には所在、地番のほか、土地なら地目や面積など、建物なら構造や床面積などが記載されています。権利部の甲区には所有権に関する登記事項、乙区には所有権以外の権利に関する事項が書かれています。

具体的には、甲区は所有者に関する事項で、物件の所有者は誰で、いつ、どんな理由(売買、相続など)で所有権を取得したのか、記載されています。また、ここには所有権移転登記、所有権に関する仮登記、差し押さえ、仮処分なども記載されます。差し押さえや仮処分の記載があれば、借金を返済できずに差し押さえられている物件ということになり、注意が必要です。また、所有権移転仮登記があれば、借金を返さなければ登記を移転するというものなので、これも要注意です。

乙区は所有権以外の権利に関する事項で、具体的には抵当権設定、地上権設定、地役権設定などの情報で、所有者の債務状況を知ることができます。住宅ローンを借りた場合の抵当権では、どこからお金を借りたのかがわかります。普通の金融機関や公的機関からの借り入れでは問題ありませんが、いわゆるサラ金やマチ金からの借り入れでは注意が必要です。

不動産を売るのは何か理由があってのことです。買い換えや引っ越し、相続などでは問題ありませんが、借金の返済などに困って売る場合は、買った後に売り主の借金に絡むトラブルに巻き込まれないよう、十分注意する必要があります。そのためにも登記簿謄本(登記事項証明書)を入手してチェックするようにしたいものです。

<登記事項証明書>
登記事項証明書

わかりました。登記簿謄本(登記事項証明書)はどうしたら取得できますか?

物件を管轄する法務局で申請すれば取得できます。管轄法務局は法務省法務局のホームページで調べられます。最寄りの法務局と管轄法務局がともにコンピューター化に対応している場合は、最寄りの法務局でも取得可能です。また、管轄法務局に申請書、登記印紙、返信用切手を同封して郵送で申し込むことも可能です。

財団法人民事法務協会が行っている「インターネット登記情報提供サービス」を使い、インターネット上で登記情報を閲覧することもできます。閲覧できる情報は登記簿の内容と同じですが、プリントアウトしたものについては登記官の認証文がないため、取引などの際の確認書類としては使えません。正式な確認書類としては登記簿謄本(登記事項証明書)が必要となります。

登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する際に注意する点、何かありますか?

そうですね。2つあります。

ひとつは、「全部事項証明書」を取得することです。登記事項証明書には、現在の状況を記載した「現在事項証明書」、過去の履歴も含めて記載された「全部事項証明書」があります。住宅を取得する場合は取引履歴にも注意する必要があるので、「全部事項証明書」を取得してください。

もうひとつは、申請書に書きこむ「地番」「家屋番号」についてです。これらは登記簿上の住所に当たるもので、日常的に使っている住所とは異なります。わからないときは窓口で聞いてから書くようにしましょう。

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